DISCASレビュー

マスクド
2026/01/11 13:58

ルックバック

あのチェンソーマンの作者の読み切り漫画の映画化です!
という触れ込みで観てしまうとだいぶ裏切られる作品です。え、藤本タツキ先生の作品じゃないの?ということではなく、チェンソーマンのような作品ではないということです。
ここから先は割とあらすじを詳細に書くので、ネタバレを避けたい人はブラウザバック推奨です。


この作品は主人公である藤野が学級通信で4コマ漫画を載せているというところから始まります。この藤野が結構調子に乗りやすいタイプで、同級生達から絵を褒められていい気になっていました。
そして京本という引きこもりの生徒が一緒に漫画を載せることになります。ここでも藤野は会ったこともない京本を「漫画って素人が簡単にかけるものじゃない」と調子に乗ったことを言うのですが、京本の漫画は背景のみという漫画の体をなしていないものではあるもののかなり絵が上手く藤野はショックを受けます。そしてここから藤野は絵の勉強を始め絵も漫画の内容も洗練されていきますが途中で心が折れて描くのを辞めてしまいます。
小学生の卒業式の日に先生に頼まれて京本の家に行き、そこで京本が自分の漫画のファンであることを知ります。結構私が普段観るような作品では自分が負けたと思っていた相手から褒められると嫉妬で怒りをぶつけてしまうという展開が多いのですが、前述したように調子に乗りやすい藤野はすっかり気をよくして漫画を描かなくなったのは賞に出す作品を考えてるからと大ぼらを吹きます。
この嘘から本当に藤野と京本で協力して漫画を描くようになり、受賞して学生のうちに漫画家デビューも果たします。
しかし京本は美大に行きたいから手伝えないと言い、藤野は京本に対して否定するような言葉を浴びせ疎遠になってしまいます。
藤野は漫画家として活動を続ける中で美大に通っていた京本が通り魔に殺されたことを知ります。
京本が美大に通いたいといった理由が藤野が「画力が上がれば描くのも速くなる」といったことに気づき、自罰的になってしまった藤野は自分が連れ出さなければ殺されなかったと考えてしまいます。
そんな中、藤野は京本が自分の漫画を何冊も買っている本棚や自分をリスペクトして描いたであろう4コマをみつけ、漫画を描き続けることになります。

 

なんというか、喧嘩別れのまま(というか藤野が一方的に怒ったまま)京本はあっさりと死んでしまいますし、すごくすっきりしない話ではあります。
藤野も悪い人間ではないものの調子に乗りやすかったり京本が美大に行く、つまり自分から離れそうになると束縛しようとしたりするなど、かなり面倒くさい性格であり、一方の京本は人見知りで臆病ではあるもののずっと献身的に藤野を支えており、その関係性からも報われないまま死んでいった京本が可哀想でなりません。
でも世の中には報われないまま死んでいく人はたくさんいるし、遺された人は偲びながらも生き続けなければならないのだろうなと思いました。

京本が突然殺される展開は最初、どうしてこんな展開にと思いましたが、犯人の動機が自分の作品をパクられたと思い込んだというものであり、現実にあった事件を元にしているのだと考えました。
もし本当にそうだとしたら作者がこの作品で伝えたかったものもまた、違った目で見えてくると思います。

この作品の感想をまとめるとどうなるか考えましたが、感動するかと言われると喪失感の方が大きく、じゃあ救いのない鬱作品かと言われると藤野はまた漫画を描き続けているのでまったく救いがないわけでもなく……すごく言語化が難しい感情があります。
だからといって結構人の好き嫌いが激しそうな作品なので、ぜひ一度観てみてとも言い難く……話の内容事態は割とシンプルであるもののそこから受け取るものはかなり複雑な作品でした。

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