メトロ42
メトロ42
2012年 ロシア
ロシア映画界が当局の全面協力を得て巨額の製作費を投じて製作したパニック映画です。モスクワの地下鉄がトンネルの崩落事故に巻き込まれ、車内に閉じ込められた人々は何とか脱出しようとサバイバルを展開していきます。
スタッフ
監督:アントン・メゲルディチェフ、製作:セルゲイ・コズロフ、イゴール・トルストゥノフ
脚本:デニス・クリシェフ、アントン・メゲルディチェフ、原作:ディミトリィ・サフォノフ
キャスト
セルゲイ・プスケパリス(アンドレイ)、スヴェトラーナ・コドチェンコワ(イリーナ)、
アナトリー・ビェリー(ヴラト)、アンフィサ・ヴィスティンガウゼン(クシューャ)、
アレクセイ・バルドゥコフ(デニス)、カテリーナ・シュピツァ(アリーサ)、
エレナ・パナーヴァ(ガリーナ)ほか

ロシア・モスクワ。今日も何気ない1日が始まろうとしていました。美しい人妻のイリーナ(スヴェトラーナ・コドチェンコワ)は実業家のヴラト(アナトーリー・ベリィ)と不倫関係にありました。イリーナには優秀な外科医の夫アンドレイ(セルゲイ・プスケパリス)と一人

娘のクシューシャ(アンフィサ・ヴィスティン
ガウゼン)がおり、アンドレイは薄々妻の不倫に気付いてはいましたが強く言うことはできず、クシューシャもそんな父に苛立ちを隠せないでいました。一方のイリーナもヴラトから離婚して一緒になろうと誘われており、悩んでいました。その頃、モスクワの地下を網の目のよ

うに走っている地下鉄のベテラン職員セルゲイ
は、地下鉄のトンネルから水漏れが起こっているのを発見しますが、上司からは常日頃のアルコール問題を問われて軽くあしらわれてしまいます。
アンドレイはクシューシャを学校に送り届けようと、文化公園駅からサドーヴァヤ駅へ向かう地下鉄の42号車輌に乗車します。しかしこの車両には、道路の渋滞にしびれを切らせたヴラトも乗り込んでいました。折しも電車内は朝の通

勤ラッシュ時で、数多くのモスクワ市民が乗り合わせていました。順調に運行していた電車でしたが、その時地下トンネルが地下水の重みに耐えかねて崩落を始め、電車の前方からは大量の水が押し寄せてきました。運転手は急ブレーキをかけますが電車は水流と乗客の将棋倒しに巻き込まれ、数多くの犠牲者を出してしまいます。電車内にはアンドレイとクシューシャ、ヴ

ラトの他に、喘息持ちの女性アリーサ(カテリーナ・シュピツァ)と彼女を口説いていた青年デニス(アレクセイ・バルドゥコフ)、元チェルノブイリの看護士で酒飲みのガリーナ(エレナ・パナーヴァ)、人の良いサラリーマンのミハイル(スタニラフ・ドゥジニコフ)、犬など

が取り残されていました。近くの駅に逃げようとして車両から脱出した人々は、レールに流れる高圧電流で次々と感電死していきました。その頃、夫や娘と連絡が取れないイリーナはニュースを聞くや、もしかしたら夫と娘は地下鉄に乗っているのではないかと感じ、真相を知ろうと奔走します。一方、地下鉄本部では、いずれトンネルが大規模崩壊を起せば地下鉄網にモス

クワ川の水が流れ込み、モスクワの半分が陥没すると判断し、事故を起こしたエリアの気密扉を閉鎖して液体窒素を注入し、水を凍らせる決断を下します。

喘息の吸入薬を失い発作に苦しむアリーサをデニスが懸命に助けますが、ミハイルは水流に流されて絶命してしまいます。その頃、救援隊も車両に向かっていましたが、水流に阻まれて救出は難航していました。そんな時、アンドレイはヴラトがイリーナの不倫相手であることに気付き、しかもヴラトがクシューシャとも仲良くなっているのを見て、混乱に紛れてヴラトを殺害しようと決心します。その時、ようやく救援隊が到着、アンドレイたちは無事救出されます。救急車に乗ったアリーサとデニスは想いを

確かめ合い、ガリーナはこれで酒が飲めると安堵していました。イリーナはアンドレイに駆け寄りますが、怒りのアンドレイは振り切ろうとします。それでもアンドレイに寄り添おうとするイリーナを見て、ヴラトは彼女から身を引く決断をします。やがて地下鉄のトンネル内には液体窒素が注入され、ようやく街は落ち着きを取り戻そうとしていました。

本作のパニック映画の要素は、過去に公開されたパニック映画の要素をたくさん盛り込んでいる。まるで、パニック映画のオマージュ的な位置であろうが、この映画の宣伝文句は“ハリウッドへの挑戦状”と題されるほど、パニックシーンがより本格的に強調されている。地下鉄の電車が濁流に飲み込まれて、急ブレーキを踏むと、電車の中の乗客が将棋倒しのように倒れていく様子をスローモーションで表現していたり、洪水をアピールしているからこそ、2000トンの水を撮影に使用したり、本格的に地下鉄を模するために112mの地下鉄の美術セットを作ってしまうなど、映像表現に凝った演出が施されている。国家を上げての映像は、類を見ないパニック映画に仕上がっています。
また主人公アンドレイは地下鉄で大変な災難に遭った上に、自分の妻と不倫関係にある男と協力し合わなければ自分の娘を助ける事は難しいという状況を強いられていて、大変気の毒に思いました。これまで観てきた乗り物パニック映画と比較して、人間ドラマが濃厚であった事も印象に残っています。
アクション映画が好き。パニックものが好き。時には、ハラハラしてみたい。と言う方には、まさりぴったりのオススメの1本だ。閉所恐怖症の方には、難しいかも知れませんが、ラストまで目が離せないスピーディな物語構成と演出には、一目置きたい作品です。未見の方は、ぜひ一度鑑賞をオススメします。