DISCASレビュー

かずぽん
2026/01/14 11:48

ミイラ再生

【古代エジプトの神秘を味わう】

 

(1932年・米・73分・モノクロ)

監督:カール・フロインド

原題:THE MAMMY
 

本作は、ミイラ映画の元祖だそうです。
1921年のエジプトで、大英博物館の遺跡調査団は、臓器が残ったままの“ミイラ”を発掘します。そのことから、生きたまま埋められたらしいと分かります。ミイラが入れられた棺を調べると、そのミイラは古代エジプトの高僧イムホテップ(ボリス・カーロフ)で、“冥界へ旅立つ魂を守る聖文字”が削り取られていました。これは、この世だけではなく、あの世からも葬られたことを意味していました。
ミイラと一緒に木箱も発掘されていて、その木箱の中にはさらに金属の箱があり、「開けた者には終わりなき苦しみと死が待ち受ける」という呪いの言葉がありました。しかし、助手の男はジョセフ卿(アーサー・バイロン)とミュラー博士(エドワード・ヴァン・スローン)がいない隙に開けてしまいます。箱の中には“トトの書”が入っていました。
“トトの書”には死者を目覚めさせる力があり、助手がそれを読み上げると、発掘した棺の中のミイラが・・・
ジョセフ卿が助手の大きな笑い声に駆け付けると、助手は発狂し、ミイラと“トトの書”は影も形もありません。

シーンは変わって1932年のエジプト。
中々成果を上げられないまま、調査団は帰国の途につこうとしていたところへ、アーダス・ベイ(ボリス・カーロフ)と名乗るエジプト人がやって来て、「アンケセナーメン王女の副葬品を見つけた。場所を教えるので発掘してもらえないか」と言います。果たしてアーダス・ベイの言う通り墓が見つかり、王家が墓を封印して以来、誰も中に入っていないことが分かります。3700年前の王女の墓が見つかったと、新聞でも大々的に報じられるほどでした。

本作の見どころは、助手が読み上げた“トトの書”によってミイラが目覚めるシーンだと思います。ミイラの目がゆっくりと開き、固定されていた腕が包帯を音もなく引き千切り、“トトの書”を持って静かに何処かへ消えて行きます。そのミイラのシワシワの顔の作り方は特典の中で解説されていますが、顔に糊を塗って8時間もかけて作るそうです。これを剥がす時がとても痛かったようで、ボリス・カーロフも大変な思いをしたのですね。
アーダス・ベイの正体はミイラ(高僧イムホテップ)ですが、そのシワシワの顔が、トミー・リー・ジョーンズそっくりです。(笑)トミー・リー・ジョーンズの顔のシワは、(ミイラと同じで)保湿が足りないんですね。(失礼でした。ごめんなさい。)
本作は「ミイラ再生」というタイトルですが、ミイラの状態なのは冒頭だけです。包帯でグルグル巻かれたミイラをご所望の方には物足りないと思います。怪奇ものとしてよりも「古代エジプトの神秘」を味わう作品かもしれません。王女と僧との身分違いの悲恋の末、生き埋めにされたイムホテップの執念の物語かも。
興味深かったのは、古代エジプトでも「輪廻転生」が信じられていたようで、特典の解説では、本作に出てくる王女の生き変わりヘレン(ジタ・ヨハン)の他にも違う時代と国に幾度か生まれ変わっていたみたいです。撮影はしたけれど、あまりにもダラダラと長くなってしまうのでカットされたそうです。
それから、「ハムナプトラ」って本作のリメイクなんですね。もうすっかり忘れてしまったので、再見してみたくなりました。

 

※2022年12月3日にディスカスにレビューしたものです。

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