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カッツ
2026/01/06 08:19

人間失格 太宰治と3人の女たち

蜷川実花監督による2019年の映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』は、小栗旬、沢尻エリカ、宮沢りえ、二階堂ふみという豪華キャストが、太宰治と彼を愛した3人の女性たちの関係を、事実をもとにしたフィクションとして描いた作品である。

本作では、『斜陽』が実在の華族の日記を盗用したという設定が盛り込まれているが、太宰治は比較的近代の人物であり、史実と創作が混在することで、観客としてはやや混乱を覚える部分もあった。また、治子が華族の令嬢との間に生まれた私生児として描かれる点も、どこまでが事実なのか判断が難しい。檀一雄の『火宅の人』を思わせるような、作家と女性たちの濃密な関係を描く映画でもある。

とはいえ、美しい3人の女性と、放蕩無頼の太宰が織りなす耽美的な世界は、蜷川実花監督ならではの色彩と映像美によって強烈な印象を残す。特に二階堂ふみの身体表現は圧倒的で、一見の価値があった。

フィクションとして大胆に再構築された太宰治の人生と愛の物語は、美しくも退廃的で、観る者に強い余韻を残す作品だった。

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