DISCASレビュー

『フェラーリ』（2023年、米国、原題：Ferrari）は、マイケル・マン監督による伝記ドラマ。トロイ・ケネディ・マーティンの著書『Enzo Ferrari: The Man and the Machine』を基に、1957年のフェラーリ社と創業者エンツォ・フェラーリ（アダム・ドライバー）の危機を描く。妻ラウラ（ペネロペ・クルス）との関係、愛人リナ（シャイリーン・ウッドリー）との息子ピエロの存在、そしてミッレミリア耐久レースでの悲劇が中心。アダム・ドライバーのカリスマ溢れるエンツォと、ペネロペ・クルスの迫真の演技が、家族と企業の葛藤を鮮烈に描く。レースシーンの迫力と1950年代イタリアの再現度は圧巻だが、ストーリーはレースと私生活のバランスがやや不安定で、感情の掘り下げが浅いとの声も。