DISCASレビュー

かずぽん
2025/06/09 11:00

アレックス・ライダー

ヤングアダルト向けだけど 面白かった】

 

(2006年・独/米/英・93分)
監督:ジェフリー・サックス/ドニー・イェン
原題:STORMBREAKER
脚本(原作):アンソニー・ホロヴィッツ『ストームブレイカー』

「このミステリーがすごい!」で取り上げられた『カササギ殺人事件』と『メインテーマは殺人』で、アンソニー・ホロヴィッツを知った。
本作は、ヤングアダルト世代を対象にしたスパイアクションもので、『女王陛下の少年スパイ!アレックス』シリーズの第1作目である。

主人公のアレックス・ライダー(アレックス・ペティファー)は、14歳の少年。アレックスは幼い時に両親を亡くし、銀行員の叔父イアン・ライダー(ユアン・マクレガー)に育てられた。出張が多く留守がちの叔父だったが、ある日、不慮の事故で死亡する。車のシートベルトさえしていれば死ぬことはなかっただろうと言われ、不審に思うアレックスだった。慎重な叔父に限って、シートベルトをし忘れるなんて有り得ないのだ。
葬式の後、アレックスは家の前から立ち去る怪しいバンの後をつけて、解体寸前の叔父の車を発見する。その運転席側は、銃弾で沢山の穴が開けられていた。
――と、ここからが俄然オモシロくなる。何と叔父の正体は銀行員などではなく、MI6のスパイだったのだ。叔父の上司が現れて、アレックスをMI6にスカウトする。「僕はまだ子供だよ!」とアレックスは言うが、叔父は彼をスパイにするべく、幼い頃から4か国語を教え、武道に射撃、スカイダイビングやバイクの運転などをしっかりと教え込んでいた。

アレックスに与えられた初めてのミッションは、実業家のダリアス・セイル(ミッキー・ローク)の屋敷及びパソコン工場に潜入し調査をすることだった。
セイルはイギリス中の学校に次世代パソコン「ストームブレイカー」を寄付することを申し出ていて、MI6は何らかの陰謀があると考えていたのだ。アレックスの叔父も潜入していたが殺されてしまった。アレックスは叔父の後釜だ。
アレックスは、パソコンオタクになりすまして潜入するのだが、そのミッションに際して、子どもの持ち物として違和感のない「ヨーヨー」「ニンテンドーゲーム機」「万年筆型麻酔銃」などのスパイ道具を渡される。この道具が後々ちゃんと役に立ち、その効果を見るのも面白い。
この実業家セイルは子供時代にイジメに遭っており、パソコンを使って、復讐をしようと目論んでいたのだ。かなり執念深い。

原作小説を読んでから随分時間が経ってしまったけれど、登場人物が個性的なので割と記憶に残っていた。
叔父のイアン(ユアン・マクレガー)の出番は少ないけれど、小説の印象よりも若々しかった。上司のアラン・ブラントは感情表現の乏しい冷血人間のイメージだったけど、演じていたのはビル・ナイだった。この人、『生きる』のリメイクで主人公を演じた人だと気が付いたら、それほど冷たい人物には見えなくなった。
ジョーンズ夫人(ソフィー・オコネドー)は、小説とはまったく違う。無敵の殺し屋ヤッセン・グレコヴィッチ(ダミアン・ルイス)も小説ほどの悪党ではなかった。ラストでアレックスを救ってくれるのは原作どおり。極めつけは、セイルの秘書役のナディア(ミッシー・パイル)の怪演。怪演というより、彼女の顔(表情)が個性的過ぎる。
映画化にあたってエピソードの割愛、変更、登場人物の役割変更もあったけれど、視覚的にはこのくらいの方が観ていて面白いと思う。
オーディションで選ばれたという主人公を演じたアレックス・ペティファーは、この当時16歳。中々のイケメンなのだ。彼は現在35歳で身長180cm。現在も俳優は続けているらしい。

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