私の好きな映画

カッツ
2025/12/12 14:02

ボーン・アイデンティティ

ボーンシリーズの第一弾であり、その後に続く作品群の中でも最も面白いと感じさせる一作である。主人公ジェイソン・ボーンは、自分が誰なのか分からないまま、自然と体が動き、敵を圧倒してしまう。観客は彼と同じように混乱しながらも、次々と事件が起こり物語が進んでいく展開に引き込まれる。

同じ記憶喪失スパイを描いた『ロング・キス・グッドナイト』(1996年)がコメディ要素を含んでいたのに対し、本作は完全にシリアスなトーンで描かれている。記憶を失った凄腕スパイという設定はその後多くの映画に用いられるようになったが、やはりボーンシリーズが最も完成度が高い。

マット・デイモンは孤独なスパイの青年役にぴったりであり、彼の存在感が作品を支えている。ヒロイン役の女性が「派手な美人」ではないことも、物語にリアリティを与えている。もし美貌を前面に押し出したキャスティングであれば、作品は『007』のような華やかさに傾いてしまっただろう。

ラストでボーンが彼女に会いに行く場面は、緊張感の続いた物語を温かく締めくくり、観客に心地よい余韻を残す。シリーズの原点として、今なお強い印象を放つ作品である。

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1 件の返信 (新着順)
spy master
2025/12/13 09:56

映画館で観ましたよ。記憶を失ったマット・デイモン演じる孤独な暗殺者が自分が誰なのかを探す姿が印象的ですね。チューリッヒにある銀行の貸金庫のシーンはスパイ映画好きとしては思わず引き込まれてしまいました。流暢なドイツ語も披露していて、語学力向上に取り組む者としてはうらやましい限りです。