和製アメリ『チャチャ』の奇妙な冒険:『世界を救う正義』と『あなたを救う悪役』どっちが好き?
こんにちは!
そぜシネマです。
自分の人生を変えた【映画】の魅力を
『旅』『ワイン』『トリビア』のかけ合わせで紹介していきます。
10月11日全国劇場公開の映画『チャチャ』オンライン試写に招待いただきましたので
ネタバレ無しでその魅力をお伝えしていきます!
製作年 :2024年
製作国 :日本
上映時間:108分
監督 :酒井麻衣
キャスト:伊藤万理華 中村大志 藤間爽子 塩野瑛久 ステファニー・アリアン
あらすじ
デザイン事務所で働くイラストレーターのチャチャ。自由奔放な振る舞いで、周囲から反感を買うこともあるが『人目は気にせず、好きなように生きる』をモットーに過ごす日々を送っていたが、ある日、屋上で偶然出逢った樂(らく)にチャチャは同じものを感じ興味をもつ。お互いに好きなものは正反対だけど、「2 人いたら丁度いい」と次第に惹かれていくが。
みどころ
新たなジャンル『野良猫系女子』の爆誕である。
チャチャの自由奔放かつ衝動的な日常に周りは振り回され巻き込まれていく。
『犬は飼い主になつき、ネコは場所になつく』
というが、まさにチャチャの思考はそのもの。デザイナー会社でかわいがってくれている社長や屋上で出会う樂、その他人への感情・関心はあくまで自分の『興味対象』としてであり執着・リスペクト的なものはあまり感じられない。私生活も場所を転々とするがそれも『居心地の良さ』から来ており、他に好きな居場所があると移っていくような軽さが印象的だった。
本作はノットヒロインムービーズ((not) HEROINE movies)プロジェクトの第4作である。
(not) HEROINE moviesとは『勝手にふるえてろ』『寝ても覚めても』『愛がなんだ』『本気のしるし』を手掛けたメ〜テレと、制作会社ダブがタッグを組み、“へたくそだけど私らしく生きる”、等身大の女性のリアルをつむぐ映画シリーズであり、次世代を担う映画監督と俳優たちを組み合わせ、
それぞれの感覚と才能を思う存分発揮できる場を生み出し、輩出するプロジェクト。何ドンもされない。胸キュンもしない。恋とか愛とか生きるとか自意識とか、考えすぎてこんがらがって。それでももがいて生きている“ヒロイン”になりきれない“ヒロイン”たちを主人公として描いていく作品達で、本作は『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』の酒井麻衣監督が完全オリジナルストーリーを創出し『ドライブマイカー』の大江崇允が脚本執筆に協力している。
ラブストーリーでありながら、コメディ、サイコ、ファンタジー、スリラーなど一言では言い表せれない『ジャンルのるつぼ』的なオルタナティブカテゴリーとなっていて、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような唯一無二の作品に仕上がっている。
本作のみどころを3つの観点から【ネタバレ無し】で紹介したい。
①心の声が聞こえる主要キャラたち
本作はチャチャと樂、チャチャの同僚の凛、キーマンとなる謎の男の護の4人が主要キャラでほぼ彼らでストーリーが構成されている。
【つかみどころのない男:樂】
カフェでできない店員をしながら屋上ではツンデレ青年となり、家では興味欲を失った自堕落な男となり、そして後半はもう一つの顔を見せ、最後までつかみどころがない。が、それがチャチャとつかず離れずの距離を保っている関係性がまんざらでもない様子
【チャチャに興味津々な同僚:凛】
憧れの社長が突然連れて来たチャチャに対して妬みを持つが次第に彼女自身の奔放さに惹かれはじめ、心を通わせるように。多分心の声が一番多い笑。推察暴走癖があり、漫画が好きな読書女子。
結構名言を吐く。
【突然現れる謎の男:護】
衝撃の登場から非日常の世界にどっぷり漬かることとなりことごとくついていないがキーマンではある。
そして彼らは各々の主観目線で『心の声』がナレーションで聞こえてくるのが特徴。
その場面での主人公が分かるような構成になっているのが面白い。
主観的なナレーションも事実と微妙にずれていて、『想像と事実のギャップ』を仮説的なナレーションで見える化して、現実で検証しながら真相に向かっていく過程も俯瞰できる流れになっている。
観客側としてはワクワクとじれったさが止まらない笑。
そして実はもう一人『心の声』が聞こえるキャラがいるのだがそれは最後までのお楽しみ。
また新たな『奇妙な冒険』がはじまるであろうもう一人の主人公への期待感もたまらない。
②チャチャの世界観を表現するアートの数々
本作は自由奔放だが芸術肌なチャチャの世界観を上手くアートで表現している。
例えば日々のファッションは傍から見ればぶっ飛んでる組み合わせであるが彼女なりの信念とテーマに沿った服装なようで面白い。
登場初日の肩外れファッションの時は誰にも支配されないアナーキーな印象を感じたし、後半の白ドレスも何か儀式がはじまるような不安と期待感を感じた(実際にそうなって山へ連れていかれるのだが、そこでのドレス姿も実にアート)。
その中でも特に際立つのは屋上で花火を見るシーンの浴衣姿。
唯一普通と言ってもよいくらいのシンプルな装いは逆にひときわ際立っていた(普段は黒の仕事服の樂もこの時は白服だったのも印象的)。
他にも彼女が描く作品アートも素晴らしい。
プライベートで衝動的に描き出す絵や会社で作業する作品達も実にアーティスティック。
コネではなく実力はあるゆえに社長から引っ張って働いている事を示していた。
特にラストの『しばらく旅にでます』アートは最高。一時停止してしばし眺めたよ。
このシーンも上手くチャチャと凛の対極さを色で表現しているよね。
③結構刺さる名言の数々
本作は随所随所に結構な名言が出てくる。
というかチャチャ自身の思考回路が他の人と違うので彼女の発言がいちいち印象的なのだ。
【独りよがりの自己犠牲は誰も幸せになんないよ】
【ほんと私たちって価値観合わないよね。でもまあ、2人合わさってようやく一つの世界になるのが好き】
【野良猫と一緒なのだ。 道にふっと出てきて おいでおいで、とその瞬間だけ可愛がる】
【人目を気にして生きるのはもうやめたの" "どうしたらやめられる?" "気にしないってこと】
【なんで可愛くないのに、 周りに男が寄ってくるのかと 言われたことがある】
【恋ではない 攻略してみたいというか そんな感じなんだろう】
その中でも特に私が刺さったセリフはチャチャと凛が川辺で恋愛話をしている場面で、凛が漫画で呼んだセリフをチャチャに言うシーン。
【正義のヒーローは世界を救う為にあなたを犠牲にするけど悪役はあなたを救う為に世界を犠牲にするの】
国や政府やグループの長はチームの【全体最適】を目指して最大公約数的な決断をするケースが多いがその中に入れなかった人は犠牲になる。
悪のヒーローは一人の大切な人のために利害関係者に立ち向かっていく。
どちらの立場においても理由があり、意思があるという事。
その場合、あなたは『世界を救うの正義』と『あなたを救う悪役』どっちが好きだろうか。
と、2人の会話を観ながら深く考えてしまった。
いかがだったでしょうか。
少しでも自分に刺さった本作『チャチャ』がみなさんにも届き、劇場へ足を運ぶきっかけになれば嬉しいです。
劇場公開は10月11日です!
『チャチャ』
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10 月 11 日(金)より新宿ピカデリー他全国公開
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©2024「チャチャ」製作委員会
配給:メ~テレ、カルチュア・パブリッシャーズ 配給協力:ラビットハウス
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投稿を表示私もあのヒーローの話がとても興味深くて覚えてるし、メモしましたねー✨✨
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