「映画の基礎」を成し得た伝説的な作品
やっぱりDISCAS、その名に相応しい作品として、私は「國民の創生」を挙げます
國民の創生(1915年・アメリカ、モノクロ、195分)
監督:D.W.グリフィス
長い映画の歴史の中で、この作品は特別な位置づけとして君臨してきました。
映画の撮影や編集をはじめ、様々な技法が初めて取り入れられ、今日の「映画の基礎」を成しえた伝説的な作品です。全盛期のリリアン・ギッシュ、メエ・マーシュら、サイレント時代の名花の映像を拝めるだけでも、映画通には堪らない作品なのです。
私が今まで観た映画で最も古いものが、1915年「チャップリンの寄席見物」で、上映時間17分ほどの無声映画でした。この「國民の創生」が加わり、最古の鑑賞作品が2本になりました。
1915年は、大正4年。今から109年前の映画です。
サイレント映画を敬遠される方も多いと思いますが、慣れればまったく苦になりません。
映像と映像の合間に挿入される短文を理解することで、むしろ俳優の表情やちょっとした仕草に目がいき、それを楽しむという面白さもあります。
本作は南北戦争を背景に、奴隷解放問題がテーマに描かれているのですが、アフリカ系アメリカ人(以下、黒人と表記)と白人の関係以外にも、軟硬織り交ぜた演出で楽しませてくれます。
南北戦争の凄まじい戦いの模様、そして北部ペンシルヴァニア州と南部サウスカロライナ州という敵対する地域同士の若者の恋模様、さらにリンカーン大統領狙撃事件などです。
特に南北戦争における南軍・北軍の塹壕はわずか数キロしか離れておらず、野砲の激しさや銃剣での殺戮シーンなど、昼夜をとわない戦いがリアルに描かれています。まさに「永遠の安らぎ」は死しかないとでも云わんばかりです。このシーンは小高い丘から撮ったのでしょうか、全体的な動きを実に上手く捉えています。
結果は歴史が物語っているとおり、北軍の圧勝に終わるのですが、両軍合わせて50万人近くの戦死者が出ました。悲惨な状況が終わりを告げようとしている矢先、今度はリンカーン大統領がフォード劇場で暗殺(射殺)されます。大混乱の中、犯人のジョー・ウィルクス・ブースは犯行後、劇場の舞台上で叫びます。 ‘この専制君主め!’ ...人相の悪い犯人を演じていたのは、なんとラウォール・ウォルシュでした。(41年「終身犯の賭け」、49年「死の谷」などの名高いアクション監督)
リンカーン暗殺後、南部の苦悩は新たな「国民の創生」として、根深い人種問題が浮かび上がってきます。北部から南部へ策士が入り込み、黒人を公職に就かせるなどして担ぎ上げ、利用するのです。
黒人たちは次第に横柄に振る舞うようになり、議会の政策は南部の文明を破壊し、南部の白人は黒人の下に追いやられるのです。
この状況には驚かされました。いわゆる ‘黒人解放’ とは縁遠い姿だったからです。
南部の白人たちは自己保存の本能に目覚め、それが「KKK(クー・クラックス・クラン)」を創立するに至ったのです。つまり、KKKは南部を守る為のものであり、本作では勇者として、ある意味、正当化されて描かれています。
当時、サウスカロライナ州では黒人議員の圧倒的な数で、白人は黒人に制圧されていたという実情が理解できました。黒人と白人の結婚を認める法案も可決されたほどなのですから。
こういった状況の中で描かれる若者のラヴロマンス、しかもそれぞれ北軍・南軍の関係です。
その変遷と結果は作品を観てお確かめ下さい。大女優リリアン・ギッシュの若き頃、メエ・マーシュの可憐さ、ミリアム・クーパーの清楚な美しさとともに。
余談ですが、ジョン・フォード監督がKKKの団員に扮しているほか、ドナルド・クリスプがグラント将軍役で出ています。ベッシー・ラヴやエリッヒ・フォン・シュトロハイムも端役で起用されているようですが、クレジットの記録はありません。
因みに放映時間の異なる複数のバージョンが公開されているが、私が鑑賞したのは195分版です。
本作の監督は「映画の父」と称えられているD・W・グリフィス。
彼は作品冒頭で述べています。
‘--本作品の芸術に関する抗弁--我々は検閲を恐れるものではないが、歴史の闇と光の面に光明を投ずる権利を要求する。また、我々はシェイクスピアと聖書に多くを負った。本作品によって戦争の悲惨さを伝える事ができたなら、我々の努力は報われた事になる。’
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投稿を表示洋画さん。何だかとってもお久しぶりな感じです。
実はパソコンの調子が悪くて(何しろ、画面が真っ暗なまま、起動も出来なかったのですから。)サポートセンターのお世話になりながら、やっと復元できた次第です。でも、まだ本当に正常化できたのか不安で仕方がありません。
10日(水)からパソコンが使えなくて、その間、島流しに遭ったような気分でした。
その間に洋画さんが進歩されていて、魔女先生との授業風景も微笑ましく、先生の励ましと生徒さんの感謝と喜びが伝わって来てプチ感動ものでした。(笑)
「国民の創生」私も観てみます。
「エポック・メイキング」これは以前、ポッシュさんから教えて頂いたことがありました。何だか観る前にビビッてしまった気がします。今度こそ!気合を入れて観ますね。(笑)
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投稿を表示109年前の映画ですか!見てみます!
ところで、「レンタルはこちら」のリンクが貼られていないようです。
編集でリンクをつけてみてくださいませ(^^)/
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