ロードムービーとエリア51、ラスベガスのシーンを盛り込んだ異色のアメコミアクション映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』
■ヴェノム:ザ・ラストダンス
《作品データ》
「マーベル・コミックス」のキャラクター「ヴェノム」をベースにしたトム・ハーディ主演のスーパーヒーローアクション映画の第3弾!ジャーナリストのエディ・ブロックは地球外生命体シンビオートが寄生したことで生まれたヴェノムをバディとして受け入れて過ごすが、ある日、彼らはシンビオートを極秘に研究する施設に侵入したことで特殊部隊に追われる羽目になってしまい、さらには新たな脅威が地球外から飛来する。エディ・ブロック役をトム・ハーディ、他キウェテル・イジョフォー、ジュノー・テンプル、リス・エヴァンス、スティーヴン・グレアム、ペギー・ルー、クラーク・バッコ、アラナ・ユーバック、アンディ・サーキスが出演。
・2024年11月1日(金)より、TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー!
・上映時間:109分
・配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
【スタッフ】
監督・脚本・製作:ケリー・マーセル
【キャスト】
トム・ハーディ、キウェテル・イジョフォー、ジュノー・テンプル、リス・エヴァンス、スティーヴン・グレアム、ペギー・ルー、クラーク・バッコ、アラナ・ユーバック、アンディ・サーキス
公式HP:https://www.venom-movie.jp/
〈『ヴェノム:ザ・ラストダンス』レビュー〉
2018年から3年おきにシリーズ作を出し、今回3作目のトム・ハーディ主演作『ヴェノム:ザ・ラストダンス』。概ねいつも通りの独りバディブラックコメディとヴェノムによるド派手アクションに、ロードムービーも楽しめ、独自の味わいがあるアメコミヒーローアクション映画に仕上がった。
中盤までは施設からの脱走&ニューヨークを目指すロードムービー仕様で、後半にシンビオートの大バトルアクションがあるという展開。アメコミ作品でロードムービーというと『キャプテン・マーベル』や『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』が辛うじてロードムービーっぽいことをやっているが、本作はこれらとは違うがロードムービーの味わいがある。それはリス・エヴァンスが演じるマーティンを中心としたムーン一家らの車に乗せてもらい、しばらく行動を共にするというほっこりするシーンがある。リス・エヴァンスというとSSUの『アメージング・スパイダーマン』でカート・コナーズ博士=リザードや『キングスマン:ファースト・エージェント』でラスプーチンを演じたイギリス人俳優で、一般人を演じながらもヒッピーみたいな雰囲気の男を演じ、怪しさがあっていい。
それと、シンビオートを留める施設がエリア55だったり、エリア51が旧施設としてさびれているという近未来感溢れる設定も面白い。エリア55になってもエリア51同様怪しい何かを隠しながら研究する極秘施設の要素はしっかりと引き継がれているので、エリア55=エリア51として楽しめる。
あとラスベガスのシーンもエディ&ヴェノムの独りブラックコメディとして面白い。ドレスコードクリアするかどうかのやり取りから、1作目と2作目にも出ていたチェンとの意外な再会など見せ場がいくつかある。
本作で意外にも良かったのは音楽のセレクトである。クイーンの「Don't stop me now」をはじめ、デヴィッド・ボウイの「Space Oddity」、キャット・スティーヴンスの「Wild World」、オーティス・レディングの「Hard To Handle」、アバの「Dancing Queen」など、ロックからフォーク、R&B、ディスコポップスとバラエティーに富んだオールジャンル洋楽のセレクトで、洋楽ファンなら楽しめる。しかしながら、デヴィッド・ボウイの「Space Oddity」をムーン一家家族全員で唄うシーンはエモーショナルで非常に良い演出である。
シンビオートを造った創造主ヌルが復活するか否かについての落とし所は盛り上がったわりにはサラッとしていて残念。アクションとしてはヴェノムとゼノファージのバトルが一番の盛り上がり所になり、全体的な流れとしては目新しさは薄いがラストとしては締まりが良い。1作目、2作目を見たというなら、とりあえずは見た方が良い。