忘れられた、忘れられそうな映画
1978年公開「ローリングサンダー」
一部批評家に絶賛されるもヒットには至りませんでいしたが、
大阪三越劇場で「最も危険な遊戯」と2本立てがありました。
「最も危険な遊戯」は東映セントラルフィルムという東映の中抜き会社の製作第一弾と製作されたのですが、これも一部批評家により絶賛され、B級アクションの佳作とされました。
のちのテレビシリーズ「探偵物語」への布石となった作品でした。
日本通脚本家によるハードボイルド作品
脚本がポール・シュレイダーという日本びいきの作家で、
「ザ・ヤクザ」、「ミシマ」など日本を題材にした作品に携わっております。
一方で「タクシードライバー」「愛のメモリー」や「レイジングブル」などの問題作も手掛けています。監督のジョン・フリンは「組織」、日本の任侠映画にインスパイアされたという「摩天楼ブルース」などがあります。
この鬼才、俊英スタッフの手掛けた本作はベトナム帰還兵の話です。
ベトナムで数年にわたる捕虜生活により人間性を失ったW・ディベイン。
妻との生活もままならない、他の男に体を許した告白される。
息子は招集中に生まれていて、息子もどう接してたらわかないと悩みます。
そんなすきま風どころか、風が吹雪くような家庭に強盗が押し入り、
妻とこどもは死亡。W・ディベインは右手をディスポーザーに突っ込まれて手を失うことになります。

クールな復讐劇
強盗たちの目的は州から送られた大量の銀貨。
W・ディベインはリハビリによる右手に義手を取り付け、強盗団に復讐に挑みます。
ともに帰還したトミー・リー・ジョーンズを従えて。
それはまるで東映任侠映画のごとく、ふたりは強盗団のアジト、売春宿へ向かいます。

若き日のトミー・リー・ジョーンズ、髪の毛もまだ大丈夫な頃、感情を押し殺した演技が光ります。
この二人、戦争で受けた暴力を封じ込めたように一切感情を排して演じています。
それが一気に爆発し、強盗団一味をズタズタにします。
この非情さが何とも言えないカタルシスを生み出します。
オープニングとエンディングに流れる主題歌「わがいとしのサンアント」が
なんともこの映画をやさしさで包み込んでいます。