バーニング・オーシャン
【メキシコ湾沖で起きた未曾有の大事故】
(2016年・米・107分)
監督:ピーター・バーグ
原題:Deepwater Horizon
本作の元ネタは「2010年メキシコ湾原油流失事故」である。当然、日本でも報道されたはずなのに記憶にない。ただ、夫から石油精製会社、港湾関係の企業、会社にオイルフェンスを提供して欲しいとの依頼があったと聞いた記憶があり、恐らくこの事故に関係していたのかも…と今になって思う。アメリカ国内にあるオイルフェンスだけでは数が足りず協力を要請されたのだろう。
本作の主人公マイク・ウィリアムズ(マーク・ウォールバーグ)の事故当日(2010.4.20)の朝は平和だった。彼はトランスオーシャン社の掘削技師で、出勤前の時間を妻や娘との会話で楽しんでいた。小学生くらいの娘がマイクの仕事について作文と模型で発表するらしく、両親の前でデモンストレーションする。このシーン、とてもよく出来ていて、この後に起きる事故の予見のようだった。
マイクがメキシコ湾沖の石油掘削施設ディープウォーター・ホライゾンに出社すると、マイクの上司ジミー(掘削施設責任者/カート・ラッセル)とBP社の現場管理者ヴィドリン(ジョン・マルコヴィッチ)が揉めている。
ヴィドリンは工期の遅れを取り戻すため、安全確認テストを省略しようとしていたのだ。ジミーは安全の確認を優先させるべきだと執拗に食い下がるが、ヴィドリンが強硬に押し切り掘削作業を続行させたのだったが、その夜、海底油田から逆流してきた天然ガスの引火による大爆発が起きてしまう。
私たちが報道によって目にするのは、炎上する施設のシーンだったり、海に流れ出た大量の油の映像などであるが、本作では海洋汚染は描かれず、その時、ディープウォーター・ホライゾンの内部では何が起きていたのか、事故後の対応や生還するための命がけの奮闘の姿に焦点が当てられていた。
事故に至るまでの過程にどんどん緊迫感が増し、身に迫る危険を顧みず機械や装置の制御に向かう作業員や、引火、爆発によって施設内が炎に包まれて行く様子に戦慄を覚える。
ディープウォーター・ホライゾンの操縦者アンドレア(ジーナ・ロドリゲス)が、外部に緊急警報を出していないことに気づき、沿岸警備隊に救助要請をしようとする。しかし、上司が「何もするな」「きみには権限がない」と通報を止める。ヴィドリンは救難ボートに我先に乗り込んで、先頭に立って指揮を取らない。
このような事態に陥ってまでも「利益を優先する者」と「安全を確保する者」の言動に変化はなく、前者は責任を回避すること、自身の保身に走るだけだが、後者は被害の拡大を食い止めようと奔走し、作業員を安全に非難させようと自ら危機の中に飛び込んで行くのだった。
無事に救助された人の方が多い中で、行方不明者の家族がマイクに安否を訊ね罵倒するシーンがある。勿論、家族としては当たり前の行動で理解できるのだけれど、マイクの必死の行動を観ていただけに弁護したくなってしまう。「責めるならヴィドリンだよ。」と。
エンドロールでは実際のマイクたちの姿が映し出される。実際の彼は優しそうな人で大柄には見えなかった。ぜんぜん逞しく見えない普通の人。
ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示かずぽんさんお久しぶりです。
この事故は日本でも大きく報道された海底油田爆発事故でしたね。安全よりも利益を優先させた結果の事故だったと記憶してます。
「ホライゾン」内の事故や火災など本当の描写の様に映し出している素晴らしい記録映画です。