夭折の外野手、実話を実名で!「栄光のバックホーム」
2013年阪神タイガースにドラフト2位で指名された横田慎太郎外野手。大型外野手として嘱望されるも、脳腫瘍のため入団4年目に引退、28歳の生涯を映画化しました。
わたしはアンチタイガースファン(アンチタイガースとは違います)であり、本作の主題歌のゆずも大嫌いです。この内容は関西局でドラマ化され、NHKは特集を組みました。横田さんによる書籍を基に映画化されました。なんで見に行ったかというと、キャスティングに驚いたことにあります。
横田選手の母:鈴木京香
同 父 :高橋克典
同 姉 :山崎紘菜
高校の同級生:伊原六花
スカウト :萩原聖人
トレーナー :上地雄輔
金本知憲 :加藤雅也
虎風荘の寮長:ふとがね金太
そして横田選手を演じる松谷鷹也は野球選手、横田選手と同じ左投左打で、そこは野球をやっていたとわかる演技でした。彼の実父がプロ野球選手であったのも驚きました(プロ野球で珍しい公立大学出で引退後は実業家に転身)
このように登場人物が実名で登場します。当時の選手たちも実名で出ているのですが、だれがどの選手を演じてるのか、サッパリわかりませんでした。
ストーリーは横田選手の少年野球時代から甲子園を目指す鹿児島県大会。夢破れるもののドラフト会議で阪神より2位指名を受けます。彼をバックアップする家族、特に母と入団後、親交のあった北條選手、スポニチの記者、リハビリをサポートするトレーナー、球団首脳陣、OBにより展開していきます。

作品講評で鈴木京香の演技が大袈裟である、母ものになっていると指摘がありますが、そうでもないです。母を軸にして構成したのはお涙頂戴の意図はあったと思います。疑問なのは父、真之さんとの関係です。お父さんはロッテオリオンズの同じく外野手でした。大卒選手で2年連続で3割を打ったのは長嶋茂雄以来の快挙ですが、新人王に選ばれませんでした…この父の存在があまりなく、横田選手が闘病生活に入る時、「野球をしているとき、何も教えてくれなかった!」と言うシーンがありました。後半で鈴木京香が言及するシーンがあって気になりました。原作などに記述されているのかな?
横田選手の引退試合となったウエスタンリーグ戦で1イニングだけ守りにつきました。センター前ヒットをバックホームした捕殺がたいへん話題となりました。ここは俳優が実演をしております。このシーンは中盤すぎくらいで、その後闘病生活が綴られていきます。絶望との戦い、家族や支援者たちの姿を描かれます。

わたしの友人に癌と闘っている男がいます。かれは阪神ファンでこの映画を見てきたとメッセージがきました。それも見る動機でした。完治したと思いきや、再発を繰り返しています。要職にありながら定年を前に退職しました。SNSにかつての仲間たちが応援メッセージを投稿しています。「好きな阪神のきれいになったタイガースタウンを見に来いよ!」と呼びかけに「行きます!」と返事が来たのでした。

阪神のレジェンドを有名俳優が演じるのですが、距離が近すぎ、実物が存在していて違和感が否めないです。平田二軍監督と大森南朋があまりにもキャラが違いすぎです。寮長のほうがイメージが近い!

阪神首脳陣、OBには大阪人がいないんですね。金本監督演じる加藤雅也は奈良県出身で地の言葉を使おうしていたうようですが、金本さんは広島じゃけんなのです。柄本明演ずる川藤幸三さんは雰囲気は全然違うのですが、川藤さんの人物像は出ていたと思います。

実在する人物を登場させている関係、どうしても事実に制約されてしまっています。横田選手を支える人物がたくさんでてくるんですけど、ちょっと絞ったほうがよかったですね。
