映画『セブン』~待ち受ける衝撃のラストシーンに言葉を失うサスペンス・スリラー~
概要
映画『セブン』は1995年にアメリカで公開されたサスペンス・スリラーである。
キリスト教が示す「7つの大罪」を模した猟奇的な殺人事件を捜査する定年退職間近のベテラン刑事と赴任間もない血気盛んな若手刑事の姿が描かれていく。
作品全体を覆う重苦しい空気と凄惨な殺人現場の描写に加え、言葉を失うほどのエンディングが観る者に衝撃を与える『セブン』で監督を務めたのは実話を基にした映画『ゾディアック』、『ソーシャル・ネットワーク』と『Mank/マンク』、『ファイト・クラブ』、マイケル・ダグラスとショーン・ペンが共演した映画『ゲーム』などで知られる鬼才デヴィッド・フィンチャーだ。

あらすじ
雨が降り続くアメリカの大都市。
あと7日で定年退職を迎えようとしているベテラン刑事ウィリアム・サマセットは赴任間もない血気盛んな若手刑事デビッド・ミルズと共にアパートの一室に向かった。向かった2人が目にしたのはイスに縛りつけられたまま食べることを強要され続けて死亡した肥満体の男だった。
そしてイーライ・グールドという名の弁護士が殺害され、事件現場の床の上には殺害されたグールドの血で「強欲」と書かれていた。
サマセットは最初の被害者の胃の内部にあったプラスティックの破片から現場の冷蔵庫裏に「大食」と書かれている文字を発見し、事件の始まりを告げるメモを発見する。
サマセットは2件の殺人事件がキリスト教に示された「7つの大罪」を模した殺人事件であると考え、「大食」と「強欲」に続いて「怠惰」、「肉欲」、「高慢」、「嫉妬」、「憤怒」を模した殺人事件も発生すると予想した。
そして、懸命の捜査をあざ笑うかのように「怠惰」と「肉欲」、さらに「高慢」を模した猟奇的な殺人事件が発生してしまう。
やがて「7つの大罪」が「憤怒」と「嫉妬」の2つを残した時、サマセットとミルズは全く予想できない事態に巻き込まれていくのだった。
見どころ
陰影の強いダークでシャープな映像と重苦しい音楽に映画全体を覆う打ち沈んだ空気が重なり、観る者全ての言葉を失わせるかのようなストーリーが展開していく。強烈なインパクトを残す凄惨な殺人現場にケヴィン・スペイシーが見せる不気味な演技がより恐怖を感じさせる。降り続く雨が湿った空気を生み出し、気だるさと何とも言えない鬱屈として気持ちに包まれていく。
映画『セブン』に関するトリビア
映画『セブン』は「7」に関連している作品である。
ストーリーが7日間にわたって展開していき、キリスト教が示す「7つの大罪」を模した猟奇的な殺人事件を描いていく。また、ベテラン刑事ウィリアム・サマセットはあと7日で定年退職を迎えることになっている。
さらにモーガン・フリーマンはアカデミー助演男優賞、ケヴィン・スペイシーはアカデミー主演男優賞と助演男優賞、グウィネス・パルトロウはアカデミー主演女優賞を受賞している。また、ブラッド・ピットはアカデミー助演男優賞とアカデミー作品賞を2回受賞しており、受賞回数を合計すると「7」になる。
公開されたエンディングとは別に2つのエンディングが存在する。ひとつ目はモーガン・フリーマン演じる刑事ウィリアム・サマセットがケヴィン・スペイシー演じる殺人犯ジョン・ドゥを射殺するシーン。後味の悪さを避けたいと考えた映画会社側からの提案だったが、ブラッド・ピットの反対により却下された。
2つ目はブラッド・ピット演じる刑事デヴィッド・ミルズがケヴィン・スペイシー演じる殺人犯ジョン・ドゥを射殺してエンディングになるシーンだが、試写の際に唐突な状況に戸惑う観客が続出したことから却下された。
また、ケヴィン・スペイシーは自身が映画に出演していることを公開まで伏せるように希望していたが、宣伝の際に映画会社がスペイシー出演を明かしてしまい、彼の怒りを買った。