上空10000フィートの濃密なフライトパニック&密室心理スリラー&会話劇!『フライト・リスク』
■フライト・リスク

《作品データ》
『パッション』や『アポカリプト』、『ハクソー・リッジ』など、監督としても才能を発揮している俳優メル・ギブソンの久しぶりの監督作品は上空10000フィートで繰り広げられるスリリングなフライトパニック&密室スリラー映画!保安官補のマドリンはある事件の重要参考人としてウィストンを航空輸送する機密任務を遂行することに。アラスカ山脈上空10000フィートを飛行中にウィストンはパイロットのダリルに関するあることに気が付き、機内の様子は一変する。パイロットのダリル役をマーク・ウォールバーグが演じ、他ミシェル・ドッカリー、トファー・グレイス、リア・レミニ、ポール・ベン=ヴィクター、マーズ・アリ、モニブ・アブハット、セニョール・パブロ、エイリーズ・ギルフォイルが出演。
・3月7日(金)より新宿バルト9他全国ロードショー
・配給:クロックワークス
・上映時間:91分
【スタッフ】
監督・製作:メル・ギブソン/脚本:ジャレッド・ローゼンバーグ
【キャスト】
ミシェル・ドッカリー、マーク・ウォールバーグ、トファー・グレイス、リア・レミニ、ポール・ベン=ヴィクター、マーズ・アリ、モニブ・アブハット、セニョール・パブロ、エイリーズ・ギルフォイル
原題:Flight Risk/製作国:アメリカ/製作年:2024年
公式HP:https://klockworx-v.com/flightrisk/
《『フライト・リスク』レビュー》
『パッション』や『アポカリプト』など監督として面白い映画を作りながら作品毎の感覚がわりとあり、前回作『ハクソー・リッジ』の本国アメリカ公開が2016年だから実に9年ぶりの監督作品になるフライトパニック&スリラー映画『フライト・リスク』。
これがほぼ3人で繰り広げられるフライトパニック&密室スリラー&アクションで、少人数での会話劇、心理スリラー、バトル、航空機ライドアクションなど見所満載で、中身が濃密且つスリリングな91分だった!

厳密には冒頭にアラスカのモーテルのシーンで保安官補のマドリンの補佐2人と、終盤に数名脇役、あとセスナ機を操縦してる際に無線でやり取りした方達の声のみの出演などキャストはいるにはいるが、大半は保安官補のマドリンと重要参考人のウィストン、あとマーク・ウォールバーグが演じるセスナ機のパイロットのダリルといったメインキャスト3人の会話劇&アクションになる。参考人であるウィストンをマドリンがアラスカからニューヨークまで連行する任務の中のアラスカからシアトルへの航空輸送の際に起きたとんでもない出来事にスポットを当てている。



アラスカ山脈上空10000フィートのセスナ機の中で、参考人のウィストンと少し遅れてマドリンがパイロットのダリルのある事実に気が付いてからは狭いセスナ機の中で激しいバトルや会話の中から真実を引き出す心理戦などが繰り広げられる。この会話劇の中で、保安官補として洞察力が優れているマドリンと、マドリンからの拘束とフライト中のトラブルから必要以上におしゃべりなウィストン、ミステリアスなおじさんパイロットのダリルといったキャラクターがフルに活かされているので、この3人による会話&アクションが面白い。



これはジャレッド・ローゼンバーグの脚本の素晴らしさとマドリンを演じたミシェル・ドッカリー、ウィストン役のトファー・グレイス、ダリル役のマーク・ウォールバーグの役者の力量による所が大きい。
これだけではなく、本作はスリリングなフライトパニック映画として優れている。パイロットのダリルに関わるトラブルからフライトそのものが危険な状況になり、ギリギリの状況をリアルに描いている。それもリーアム・ニーソン主演の『フライト・ゲーム』みたいに旅客機の中の多人数のフライトパニックではなく、3人乗りの狭いセスナ機というのがまた良い。ダリルとの会話の中で一般人が農薬の空中散布でセスナ機を使う話をしてたように、ちょっとした飛行機操縦の知識を知ってる人はいくらでもいるからこそ辛うじて成り立つシチュエーションである。
中でも終盤の難しい操縦のシーンがあり、わりと時間が割かれたリアルなシーンで、やはりここでもトラブルの連続で最後の最後まで目が離せない。

リアルなフライトの演出はセスナ機内をリアルに作り上げた美術と編集の上手さがあり、つまりはこれらをまとめ上げたメル・ギブソンの監督としての力量も見受けられる。また、フライトの序盤でダリルが聴いている曲がニュー・オーダーの「Blue Monday」で、歌詞の内容を含めてフライトにぴったりな曲である好演出である。
要は『さらば冬のかもめ』にフライトパニック要素を盛り込んだスリラー映画で、91分と比較的短い時間でまとまっている。やや無理な展開ではあるが、アクションもゴア描写も思い切りがよく、そこもメル・ギブソン監督作品らしさがある。
フライトパニックものの映画が好きなら絶対必見である!

