DISCASレビュー

NASAで計算業務を担っていた黒人女性3人の実話をもとにした物語である。舞台は1950年代から60年代初頭、アメリカでは人種差別が根深く、黒人用のトイレやコーヒーディスペンサーが分けられているなど、日常のあらゆる場面に差別が存在していた。
そんな厳しい環境の中でも、彼女たちは卓越した数学の才能を発揮し、次第にその実力が認められていく。NASAという最先端の科学機関であっても、当初は偏見に満ちていたが、彼女たちの仕事ぶりが周囲の意識を少しずつ変えていく様子が感動的に描かれている。
ロケット打ち上げの日、上司は彼女たちの計算に不安を感じて再確認を命じるが、結果は完璧だった。彼女たちの知性と努力が、宇宙開発という国家的プロジェクトを支えていたことが明らかになる瞬間である。
差別に抗いながらも、自分の力で道を切り拓いていく彼女たちの姿は、静かに、しかし力強く希望を語っている。