DISCASレビュー

カッツ
2025/11/12 07:54

カサブランカ

1942年公開、ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンが共演した、アメリカ映画史に残る恋愛ドラマの名作である。舞台は1941年、親ドイツ管理下に置かれたフランス領モロッコの都市カサブランカ。ヨーロッパの戦災を逃れた人々が、中立国ポルトガルを経由してアメリカへの亡命を目指していた。

物語は、亡命を図るレジスタンスの指導者とその妻イルザ(バーグマン)が、かつての恋人リック(ボガート)の助けを求めてカサブランカに現れるところから始まる。過去の愛と現在の使命の狭間で揺れる二人の関係が、戦争という非情な時代背景の中で静かに、そして切なく描かれていく

劇中で流れる名曲「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」は、失われた愛と過ぎ去った時間を象徴する旋律として、物語に深い余韻を与えている。この曲が流れるたびに、リックとイルザの心の距離が浮かび上がる。

日本映画『夜霧よ今夜も有難う』(石原裕次郎・浅丘ルリ子主演)は、本作の影響を受けた作品として知られており、“戦争と恋”というテーマが国境を越えて共鳴していることを感じさせる

それにしても、アメリカが戦争の真っ只中にあった時代に、これほど繊細でロマンティックな映画が作られていたことに驚かされる。

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