【鬱・トラウマ・絶望映画マニア】『悪女/AKUJO』
■悪女/AKUJO

《作品データ》
『渇き』のキム・オクビンが女殺し屋を演じ壮絶なバトルを繰り広げるアクション映画!! 殺し屋のスクヒは夫のジュンサンが殺されその復讐を晴らすが、国家組織に拘束され国家直属の暗殺者として生きることに。主人公スクヒ役のキム・オクビン他、シン・ハギュン、ソンジュン、キム・ソヒョンが出演。監督・脚本・製作・アクション監督は『殺人の告白』のチョン・ビョンギル。
・角川シネマ新宿他全国ロードショー中!【R15+】
・配給:KADOKAWA
・公式HP:http://akujo-movie.jp/
《『悪女/AKUJO』レビュー》
昨年から一部の韓国映画マニアの間で話題になっていた『悪女/AKUJO』。平昌オリンピック真っ只中の時(注:初稿当時2018年)に満を持しての公開だが、
これは4年に1度どころか10年に1本あるかないかの凄まじい女殺し屋のアクション映画だった!!

のっけから『ハードコア』でも使われたFPS(ファースト・パーソン・シューティング:一人称視点の撮影)でのかちこみアクションシーンで始まり、その後もめくるめく壮絶なアクションを散りばめ、124分間全く飽きない。銃、刃物、鈍器、素手の格闘だけでなく、後半のカーorバイク・チェイス&アクションも実に斬新。


これをスクヒを演じるキム・オクビンがほぼノー・スタントで行っていて、その彼女のアクションのスキルの高さとアクション監督も兼ねたチョン・ビョンギルによるアクション・コーディネート、撮影監督のパク・ジョンフンによる撮影技術など、スリルと残虐性たっぷりのアクションの魅力が凝縮している。

アクションばかりだけでなく、脚本も素晴らしい。概要を書くとネタバレになるが、運命とループのような流れがお見事。その中で、殺し屋として育てられるシーンと恋心を抱くシーンが面白く、殺人マシンとして作り上げられながらも恋愛は別腹みたいになっている。単なる殺戮マシンの無機質なアクションにはなっていない。

節々で『ナチュラル・ボーン・キラーズ』や『キル・ビル』の影響が見られつつも、それらよりもコンパクトに124分にまとめられ、ストーリーのテンポの良さと無駄のなさが伺える。
これは4年に1度のオリンピックを差し置いてでも見ないと後悔、いや2010年代を代表する女殺し屋アクション映画!!
