配信にはない映画⑤選

「特別な一日」(1977)
ムッソリーニ政権下のローマ。日々家事に追われる主婦と、片や或る理由により勤務先を解雇された孤独な男。同じアパートに暮らす二人が偶然出逢い、その細やかな触れ合いを通して保守的な男女の在り方に疑問を呈す脚本が秀逸。息がピッタリ合ったソフィア・ローレンとマルチェッロ・マストロイァンニの名コンビぶりに拍手
Photo: via IMDb https://www.imdb.com/title/tt0076085/mediaviewer/rm3816425984

「マドモアゼル」(1966)
閉鎖的なコミュニティの持つ排他性を描き、恐らくは誰の心にも潜むであろう欲望と隣り合わせの邪悪で残酷な部分をダークトーンのモノクロで撮影した佳作。主人公役はジャンヌ・モロー以外考えられぬほどに絶品の演技 / (注意)小動物の虐待シーンを含む
Photo: via IMDb https://www.imdb.com/title/tt0060648/mediaviewer/rm3509941760

「未来よ こんにちは」(2016)
公私共に充実した日々を過ごしていた哲学教師が、或る日突然夫から「好きな人がいる」と告白され思いも寄らず離婚。その後起きた様々な出来事を通し彼女は改めて生き方を見つめ直す。等身大の女性を描く才能に長けたミア・ハンセン=ラヴの演出力が本作でも冴える。謂わば知的中産階級に属すヒロインのカジュアルな着こなしや部屋のインテリアなども興味深い
Photo: © CG Cinema/ Arte France Cinema/ DetailFilm/ Rhone-Alpes Cinema

「鬼婆」(1964)
時は室町、戦乱の世。落武者を殺して身ぐるみを剥ぎ、それを糧に辛うじて生き延びる義母と嫁。そこへふと現れた男の存在が彼女たちの情欲を呼び覚まし、二人の関係に変化をもたらす。小泉八雲の怪談を彷彿とさせる物語に濃厚なエロスの匂いがミックスされた独特の世界観は見応えあり。新藤兼人をフィルムメーカーとして敬愛する俳優ベニチオ・デル・トロはお気に入りの作品にこの「鬼婆」と「裸の島」を挙げていた。一切の会話を用いずに撮られた後者(同様に配信なし)もお薦め
Photo: ©1964-TOHO Company

「ある戦慄」(1967)
日曜深夜のニューヨーク。同じ地下鉄車両に居合わせた十数名の乗客たちがチンピラ二人組によって身の危険に晒される様子を描く。まるで実体験しているかのような臨場感と緊張感には身が縮み上がる思い。隣の車両へ移ることも降車することも封じられた密室で、さてあなたならどう行動する?
Photo: via IMDb https://www.imdb.com/title/tt0061814/mediaviewer/rm1489257472
以上の映画は何れも私がツタヤ宅配レンタルを利用しここ二年以内に鑑賞したもの。本記事執筆時点では全て配信なしの筈だが、もし誤っていたらご容赦を