カッツ
2025/10/15 08:28
民族の祭典
1936年に開催された第十一回ベルリン・オリンピック大会の公式記録映画であり、レニ・リーフェンシュタールが総監督を務めた作品である。ナチス政権下で制作された映画であることから、政治的な意図が色濃く反映されている一方で、その映像表現の革新性と芸術性の高さは、今なお映画史において特筆される。
冒頭の裸体表現は、戦前の作品とは思えないほど大胆で、当時の観客に強い衝撃を与えたであろう。肉体美と運動の美を神話的に描き出すその演出は、スポーツを超えた視覚芸術としての側面を持っている。
また、当時ナチスと関係の深かった日本の選手たちの活躍も多く記録されており、国際的な視点から見ても興味深い資料となっている。
本作は、プロパガンダ映画としての側面と、映像芸術としての革新性という二面性を併せ持つ、極めて複雑で評価の難しい作品である。
コメントする