カッツ
2025/12/10 15:40
愛を読む人
『愛を読む人』は、前半と後半で物語の雰囲気が大きく変化する作品である。前半では、ケイト・ウィンスレット演じる車掌のハンナと少年マイケルの出会いから始まる。体調を崩したマイケルを助けたハンナは、彼に物語を読んでほしいと頼む。実は彼女は文盲であり、それを深く恥じていた。物語を読む時間が二人の親密な関係へと発展し、年齢差のある恋愛が描かれる。ウィンスレットは『タイタニック』とはまったく異なる役柄で、成熟した女性の複雑な内面を大胆かつ繊細に表現している。やがてハンナは突然姿を消し、二人の関係は唐突に終わりを迎える。
時が流れ、マイケルは法律を学ぶ学生となり、ナチスの戦争犯罪人を裁く法廷を傍聴する中で、被告席にハンナの姿を見つける。彼女は文盲であることを隠し続けたため、裁判は不利に進む。文盲であることを認めれば状況は変わるのに、彼女は頑なにそれを拒む。
初めて観たときは前半の二人の関係にばかり目が行ったが、何度か見直すうちに、後半に描かれるハンナの内面の変化や贖罪の意志が深く伝わってきた。ナチスに協力した人々は、命令に従うだけで自らの行為を省みることはなく、ただ流されていったのだろうと感じさせられる。
その後、服役中に彼女は文字を学び、読めるようになったことで深く考えるようになり、確かに改心したのだと思う。静かで重厚な余韻が残り、心に深く響く作品である。
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