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カッツ
2025/12/15 12:56

瀬戸内少年野球団

淡路島出身の作詞家・阿久悠の自伝を映画化した作品で、終戦直後の淡路島を舞台に小学校の野球団を描いている。とはいえ、野球そのものが中心ではなく、戦後の島の人々の暮らしや心情が物語の核となっている。

キャストは非常に豪華で、今では主役級の俳優たちが脇役として多数出演している。少年たちと担任教師を演じる夏目雅子が物語の中心に据えられ、その夫役に郷ひろみ、弟役のチンピラに渡辺謙が登場する。渡辺が若き日にこうした役柄を演じていたことは興味深い。さらに、岩下志麻の飲み屋の女将、伊丹十三の戦犯提督、大滝秀治の駐在警官、加藤治子のおばあちゃん、美木良介や三上博史の若々しい姿など、脇役陣も見応えがある。ちあきなおみがパンパン役で出演しているのも驚きで、最初は彼女だと気づかなかった。島田紳助も少年の兄として登場し、荒々しい存在感を放っている。

物語は、終戦直後の島の住人たちの姿を群像劇として描いており、伊丹十三演じる提督が戦犯として絞首刑になる場面は、日本の敗戦を肌で感じさせる強烈な描写である。進駐軍と市井の人々の関わり方も丁寧に描かれ、戦後社会の空気が伝わってくる。

夏目雅子が最も美しかった時期の出演作であり、撮影後に彼女が子供たちを誘って一緒に風呂に入ったというエピソードも残されている。中学生になろうとする少年たちにとっては忘れられない思い出であり、当時の彼女の人柄を感じさせる逸話である。

『瀬戸内少年野球団』は、戦後の混乱期を生きる人々の姿を鮮やかに描き出し、豪華なキャストとともに時代の空気を伝える作品である。

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