カッツ
2025/12/24 07:42
顔
2000年/監督:阪本順治
福田和子事件をモチーフに、35歳まで家に閉じこもっていた冴えない女性が、衝動的に妹を殺害してしまったことをきっかけに逃亡生活へと踏み出す物語である。
初めて外の世界に飛び出した主人公は、逃亡の途中でさまざまな人々と出会う。故・中村勘九郎、岸部一徳、佐藤浩市、豊川悦司、國村隼といった個性豊かな俳優陣が、彼女の行く先々で印象的な役柄を演じ、物語に厚みを与えている。
ただ、藤山直美の演技にはもう少し“逃亡者としての憂い”や緊張感を期待していた部分もある。彼女の持ち味である生活感やリアリティは十分に感じられるものの、逃亡劇としての切迫感はやや薄く感じられた。
物語は、主人公が島から泳いで逃げていく場面で幕を閉じる。その後の彼女がどうなったのかは描かれず、観る者の想像に委ねられる形だが、その余白がかえって作品の余韻を深めているようにも思える。
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