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2025/07/06 13:35

真田昌幸の謀略

真田幸村の謀略

 1979年公開

 

監  督:中島貞夫

脚  本:笠原和夫、松本功、田中陽造、中島貞夫

特撮監督:矢島信男、佐川和夫

 

キャスト:松方弘樹、あおい輝彦、秋野暢子、寺田農、真田広之、火野正平、森田健作、

     岡本富士太、ガッツ石松、岩尾正隆、野口貴史、萩尾みどり、小倉一郎、戸浦六宏、

     小林昭二、曽根晴美、金子信雄、高峰三枝子、成田三樹夫、丹波哲郎、梅宮辰夫、

     片岡千恵蔵、萬屋錦之介


 

真田幸村の謀略は、1979年9月1日に公開されました。製作準備3年余という超大作で時代劇ファン待望の戦国合戦絵巻でした。

東映の大型時代劇の存亡を懸けた第3弾には、主役を前二作の萬屋錦之介から、松方弘樹に替えて、萬屋は、敵役(徳川家康)に据えて作品を作り上げます。

 

 

最初から宇宙空間、そして大きな彗星が、二条城に迫る、巨大彗星の中から金絲猴(孫悟空のモデルになった猿)のメイクをした猿飛佐助(あおい輝彦)が出てくるという特撮映画のオープニングです。予想はできたのですが、史実とちがい、既存の真田幸村(松方弘樹)を主役とした映画とは明らかに一線を画していますが、「異説」「時代伝奇もの」映画としてそのスケールの大きさを堪能できる作品です。

 

 

 

 

 

関ヶ原の戦いに敗れた真田幸村は、高野山麓に身を潜めながら、天下統一を成さんとする徳川家康(萬屋錦之助)の首をうかがっていた。

そんな折、父の昌幸(片岡千恵蔵)が家康の策にかかり命を落とす。

 

 

 

 

幸村は、打倒家康のため全国から腕利きを集めるべく、戸沢白雲斎(浜村純)のもとを訪ねるが、家康への協力を拒んだために、既に服部半蔵に(曽根晴美)殺されていた。

 

師を亡くした猿飛佐助が仲間に加わり、白雲斎の残した“草の者”人名帖を頼りに、次々と忍びの者たちが幸村のもとへ集められた。

かくして、ここに真田十勇士が結成された!

 

霧隠才蔵(寺田農) 伊賀忍者の頭領・百地三太夫の弟子とされ、猿飛佐助と並び真田十勇士の中でも忍術の使い手です。同時代に生きた盗賊・石川五右衛門は兄弟弟子にあたるというと言います。

 

猿飛佐助(あおい輝彦)真田十勇士でも屈指の実力と人気を持つ忍者。戸沢白雲斎の秘蔵弟子です。

 

海野六郎(ガッツ石松) 真田幸村の側近の一人。真田家重臣の家柄で、叔父は真田家の侍大将を務めていました。

 

望月六郎(野口貴史) 真田幸村の側近の一人。爆弾作りが得意だという話もあります。

 

筧十蔵(森田健作) 真田幸村の側近の一人、父の代から真田家に仕え、父は真田家の重臣でした。

 

穴山小助(火野正平) 真田幸村の側近の一人で幸村の側近を命じられる場面が多い役回りです。

 

由利鎌之助(岩尾正隆) 真田幸村の側近の一人、武将として登場。最初は野田菅沼家に仕えていましたが、真田軍に敗れて捕虜となった後に真田家に仕えました。

 

根津甚八(岡本富士太) 真田幸村の家臣の一人。大坂夏の陣の最終局面で幸村の影武者となって討死したとされています。

 

三好清海入道(秋野暢子) 弟の伊三入道と兄弟で真田幸村に仕える僧体の豪傑というのが通説ですが、ここでは「切支丹ジュリアおあた」女性の設定です。

 

三好伊三入道【尹三英】真田広之 三好清海入道の弟で、やはり幸村に仕える僧体の豪傑とされていますが、この物語では朝鮮人の切支丹とされています。

 

 

真田館で特殊訓練が行なわれている中小助と十蔵の女が恋中になり、追放されてしまう。

時同じくして、家康がフランキー砲、試射を見に来るという情報が入り、幸村と十勇士はこの時とばかりに出発するが、この計画を見抜いていた家康は半蔵の忍者部隊を送りだし、幸村は片目を射抜かれ、やっとのことで逃れた。

 

 

 

家康はこの機を逃すまいと、幸村達を豊臣(豊臣秀頼:小倉一郎)が雇った牢人と決めつけ、豊臣氏に叛逆の意図ありと口実をつくり、徳川連合軍四十万を大

坂へ向けて進撃させた。

 

 

 

 

1614年10月。

大坂冬の陣の始まりである。

軍資金目当の者、ひと旗上げようとする者が大坂に集まった。幸村と十勇士も大坂へ向かった。

 

 

 

 

 

大坂城本丸では徳川を迎え打つ軍議が開かれ、籠城を主張する豊臣譜代衆と、野戦を主張する幸村達牢人衆が対立するが、淀君(高峰三枝子)の一言で籠城と決定する。

幸村は鉄壁の出城、真田丸を作って籠った。

 

大坂冬の陣は、幸村が天竺渡りの麻薬を持たせて徳川陣営に送り込んだ。このため、翌日の合戦は真田軍の圧勝に終った。

 

一方、家康は密かに和議の交渉を進め、数日後、フランキー砲の偶発に淀君は大仰天、いっきに和議に話を進めてしまう。和議が済むと家康は大坂城の堀を埋めつくし、裸同然の無防備な城に一変させてしまう。

1615年4月、秀頼は再戦を決意大坂夏の陣は起こった。勝利の見込みのない自滅的な戦闘だった。そして、5月8日、炎に包まれて大坂城は落城、豊臣が崩壊した。・・・・

 

 

 

映画の中では詳しく描かれていませんが、

幸村の兄信幸(梅宮辰夫)は関ヶ原の戦いで徳川側についたため上田藩主となっていました。
兄と弟が戦うことになったのは兄信幸の妻は家康の養女でありまた家康の重心の本多忠勝の娘の小松姫であり、一方で幸村の妻は西軍の大谷吉継の娘であったことも関係しています。

 

本作を特異なものにしている要素は、真田十勇士たちの設定です。

霧隠才蔵は登場当初から幸村の腹心という設定ですが、猿飛佐助はなんと隕石に乗って地球にやって来た宇宙人なのです。

また原典であれば巨漢の坊主であるはずの三好清海入道は女性に変更された上、その正体を安土桃山時代に実在した“ジュリアおたあ”に設定されました。

その他の十勇士も落人(おちうど)や傾奇者(かぶきもの)など、社会から外れたアナーキストに設定されています。

さら佐助の登場や彼が使う幻術の描写には特撮が駆使されています。

この映画のトップシーンはなんと佐助が乗って来た隕石が宇宙から飛来するシーンなのです。そのほか忍法大竜巻やミニチュア特撮を用いた真田丸での幻覚作戦など、特撮の見せ場が盛りだくさんです。

 

特撮シーンだけでなく、次から次へと突飛な展開やアイディアが繰り出される本作は、ひとまず何も考えず荒唐無稽さを楽しむのが、正しい鑑賞の仕方なのかもしれませんね。

 

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