アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル
『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』は、私にとってマーゴット・ロビーが本気で輝いた最高のバイオピクチャーで、何度観ても彼女の演技に圧倒されちゃう作品です。2017年の映画(日本公開は2018年)で、フィギュアスケーターのトーニャ・ハーディングの波乱万丈な人生を、彼女自身や周囲の人間たちがカメラに向かって「これが真実よ!」って語るモキュメンタリー風に描いてるんですよね。1994年のナンシー・ケリガン襲撃事件の真相を巡る騒動が中心だけど、事件そのものより「トーニャという一人の女の人生」がメインで、そこが本当に心に刺さる。
マーゴット・ロビーのトーニャが、もう完璧すぎて言葉が出ない。貧しい家庭で育ち、母親(アリソン・ジャニー)の異常なスパルタ教育に耐え、粗暴な夫ジェフ(セバスチャン・スタン)と結婚し、トリプルアクセルを跳べる天才スケーターなのに、審査員に「上品じゃない」って低評価され続ける。彼女の苛立ち、怒り、でもスケートへの純粋な情熱が、画面から溢れ出てるんです。特にリンク上でトリプルアクセルを決めた瞬間の喜びと、事件後の転落のコントラストが切なくて、観てるこっちまで胸が痛む。マーゴットはスケートも自分でやってるし、表情の変化が細かくて、トーニャの「壊れそうで壊れない強さ」がリアルに伝わってくる。アリソン・ジャニーの母親役も恐ろしくて最高で、オスカー助演女優賞を取ったのも納得の迫力。
演出がめちゃくちゃ面白い。第四の壁を破って登場人物が直接語りかけてくるから、みんなの証言が食い違って「羅生門」みたいになる。事件の真相は結局「誰も本当のことを言ってない」みたいな曖昧さが残るけど、それが逆に「メディアと世論がどう人を潰すか」を浮き彫りにしてて、現代的。ブラックユーモア満載で笑えるシーンも多いのに、DV描写や母親の虐待が容赦なくて、重いテーマを軽やかに扱ってるバランスが天才的。観終わったあと「トーニャは被害者だったのか、加害者だったのか」ってモヤモヤするけど、最後にトーニャが「これが私の物語よ」って言い切る姿に、静かなカタルシスを感じるんですよね。