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spy master
2025/11/16 13:45

映画『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』~テニスの歴史に刻まれた誰も知らない感動のドラマ~

●概要

1980年に行われたビヨン・ボルグとジョン・マッケンローによるウィンブルドン決勝戦での対決を実話に基づいて描いたスポーツドラマ。テニス史に残る白熱したテニスの試合シーンに加え、「氷の男」と呼ばれたボルグと「炎の男」と呼ばれたマッケンローの知られざる内面も丁寧に描かれていく。映画『トランスフォーマー』、『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』で知られるシャイア・ラブーフがジョン・マッケンローを演じ、『蜘蛛の巣を払う女』、『ストックホルムでワルツを』で知られるスヴェリル・グドナソンがビヨン・ボルグを演じた。

監督はドキュメンタリー映画『アルマジロ』と『タイから汝へ』で知られるデンマーク出身のヤヌス・メッツが務めた。

(C)AB Svensk Filmindustri 2017

●About the Movie

1980年、24歳のスウェーデン人テニス選手ビヨン・ボルグは間もなく始まる聖地ウィンブルドンで開催される5連覇を懸けた試合に挑もうとしていた。どこへ行ってもファンとマスコミに追いかけられ、片時も気が休まることがない男だ。世界ランク1位のボルグは「氷の男」と呼ばれるほど冷静沈着な性格だが、彼の真の葛藤を知るのは婚約者マリアナとコーチを務めるレナートだけであった。

そんな「氷の男」と呼ばれるボルグの前にライバルとして現れたのは「アル・カポネ以来、最悪のアメリカの顔」、「恥を知れ、悪ガキ」とメディアから激しく叩かれているジョン・マッケンローだ。納得できない判定を出した審判に食らいつき、観衆からの怒号や不満の声に容赦なく罵声を浴びせる「悪童」にして「炎の男」だ。

いつも冷静沈着で「氷の男」と呼ばれるビヨン・ボルグと怒りを露わにして観衆に罵声を浴びせる「悪童」にして「炎の男」と呼ばれるジョン・マッケンロー。対照的な二人はテニスの聖地ウィンブルドンで世界中を見守る中、人智を超えた試合に挑むのだった。

●映画評

誠に個人的で勝手な考えであるのだが、運動音痴な自分にとってスポーツ映画は観ることから自然と距離を置いてしまう。正しい表現ではないが「食わず嫌い」ならぬ「観ず嫌い」となって、スポーツ映画を観ることはなかった。しかし、「映画を純粋に楽しみたい」、という気持ちが強くなり、本作『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』を鑑賞するために映画館へ足を運んだ。実際に鑑賞してみると、これがすこぶる面白い。白熱したテニスの試合シーンに手に汗を握り、自分が試合会場にいるかのような感覚になった。

この映画の面白さは二人の実在のテニス選手ビヨン・ボルグとジョン・マッケンローの内面に迫る描写にもある。

「氷の男」と称されるビヨン・ボルグは迎えの車、宿泊するホテルの部屋、ラケット、タオル1枚に至るまで毎年同じものを用意させる。ラケットのガットの張り具合も丹念にチェックする。そこには映像だけでは計り知れないボルグの内面の葛藤を感じることができる。冷静沈着な人物であるのだが、実は激高して感情を露わにする人物であったことがわかる。「氷の男」と呼ばれていたボルグの意外な一面だ。ホテルのベランダからボルグが身を乗り出すシーンがあるが、勝つことへの大きな重圧を象徴しているかのようだ。

「炎の男」と呼ばれるジョン・マッケンローの描写も興味深い。審判の判定に苦情を言ったり、汚い言葉を口にしたりするなど、「紳士のスポーツ」と呼ばれるテニスをプレイする人物として似つかわしくないのだが、己の怒りをラケットに込めてボールを打つ姿はマッケンローの個性として受け止められる。ボルグに憧れていながらも彼のようになれないと思うシーンがあり、およそ「悪童」とは思えない意外な一面を見せられる。

かつての自分をマッケンローに重ねるボルグ、そんなボルグに憧れながらも彼のようになれないマッケンローが見せる試合シーンは白熱している。勝つか負けるか、という大きな重圧を全身にまといながら一打一打に全ての感情をぶつけていく。

映画はマッケンローとボルグ二人の過去を丁寧に描くと共に白熱したテニスの試合シーンも描き、観る者を瞬く間に映画の中へ引き込む。映画館の座席から思わず身を乗り出してしまうように試合シーンに釘付けとなり、気が付けばあまりの興奮に座席からしばらく立ち上がれなかったほどだ。

(C)AB Svensk Filmindustri 2017

●トリビア

ジョン・マッケンローの元妻は1973年公開の映画『ペーパームーン』でアカデミー助演女優賞を受賞した女優テイタム・オニールである。1986年にテイタム・オニールと結婚したジョン・マッケンローは3人の子どもに恵まれたが1992年に別居後、1994年に離婚した。離婚後、3人の子どもの養育権はテイタムにあったが、1998年以降にジョンに移った。

ジョン・マッケンローは試合中に審判の判定に反発したり暴言を吐いたりすることから「悪童マッケンロー」と呼ばれた。また、アメリカのメディアからは「アル・カポネ以来最悪のアメリカ人」とまで言われた。

ビヨン・ボルグを演じたスヴェリル・グドナソンは役作りのために映画の撮影5か月前からトレーニングを開始し、1日2時間のテニスと基礎トレーニングを週に4時間行った。

ジョン・マッケンローは2004年公開の映画『ウィンブルドン』に解説者役としてワンシーンだけ出演している。

●映画『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』本予告

 

 

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