私の好きな映画

THAT’S 70MM!

午前10時の映画祭「アラビアのロレンス」

テレビで何度か見たのですが、名作と絶賛される割には

退屈な映画でどことなくホモくさくて…

実際、ロレンスは女性との関係はなかったようですが。

 

そんな勝手なレッテルを払拭するため

劇場へ行きました。

 

もはや70mmスクリーンではなく、

ミニシアターの小さなスクリーンで。

しかしこの小屋は音響がよくてDolbyシステムが導入されています。

 

3時間超え映画のフォーマット

まず、序曲が流れます。モーリス・ジャールの音楽、激しい打楽器の音色、

これは劇場でないと堪能できません。

ロンドンフィルの演奏です。

 

インターミッションが入ります。

entr’acteー幕間の間奏曲が流れ、

エンディングに終曲が流れる構成になっております。

本作は4時間近くの大作です。

 

ロレンスの生涯を砂漠の世界で描き、

80%くらいが砂漠のシーンです。

女性が一人も出てきません。

ロレンスは実在した軍人で、架空の人物を登場させ

オスマン・トルコ帝国からアラブ民族を結集させ、

アラビア半島を攻略する壮大なスケールで展開していきます。

 

SUPER PANAVISION!

テレビサイズではこの作品を堪能できないことを認識しました。

砂漠の蜃気楼でゆれる黒い影が

ラクダに乗ってやってくるアラブ民族や

ありのように蠢くのが、ロレンス率いるアラブ民族部隊など、

70mmカメラを駆使した映像が飛び込んきます。

第一部はロレンスの功績を描く

ロレンスという人物はなんとも素直じゃない

ひねくれやで、上官の言うことも素直に聞かない

偏屈男と描かれます。

このロレンスがトルコの支配を打ち破るため、

アラブ国のカリフに会いに行きます。

この王子を演じているのが、オビワンケノービ、アレック・ギネス。

D・リーン作品の常連さんです。

ロレンスはトルコ軍の拠点、アカバへの侵攻に着手し、

ロレンスの説得でオマー・シャリフ率いるハリト族と

アンソニー・クイン親分のハウエイタット族を率いて、一気にトルコ軍を攻めて

攻略するのです。

英国軍はロレンスただひとりで、

異なる仲悪しアラブ民族をまとめて敵陣を制覇してしまうなんて、

なんと凄い男なのか!

カイロの英軍基地に戻って報告するも誰も信じないけど、

その手柄にやがて絶賛され、少尉から一気に少佐に昇格します。

©ソニーピクチャーズ

砂漠は清潔!

この言葉にあるように第一部はロレンスの純真さ、正義感が描かれます。

相棒となるオマー・シャリフ扮するアリとの出会いや、

置いてきぼりになった男、ひとりで探しにいくなど、

ロレンスの頑なさが描写されます。

ロレンスは砂漠のなかに自分の生きがいを見出し、

アラブ民族との融合、民族の垣根を超えていくのでした。

しかし…

©ソニーピクチャーズ

幻滅、崩壊、そして死へ

第2部は一点して、ロレンスの酩酊ぶりが描かれます。

そしてこの扮装のなかに、良心も取り除かれちく、

再び、民族同士の対立を生んでいきます。

この完全版で修復されたトルコ軍の領地で、

やってはいけない、水たまり足をいれてトルコ軍に

拿捕されます。そして辱めを受けるのでした。

©ソニーピクチャーズ

ロレンスの心情は急激に揺れ動き自信喪失、弱体化し、除隊を望むみます。

虐待シーンは初公開時やテレビ放映時はカットされていたのですが、

このシーンがないと、その後のロレンスの心情変化を捉えにくくなります・

 

軍はロレンスの意向を却下し、ダマスカス侵攻を命じます。

ロレンスは戦いの意味をカネではなく、民族の誇りとして

軍をまとめてきたのが、ここではカネ目当ての部族を率いて

突撃します。そこでとんでもない虐待をしてしまう・・・

 

アラブ民族を集めた国民会議が開催されますが、

自分の利を主張するだけで、民族の結集を果たすことできませんでした。

ロレンスは自分の小ささに打ちひしがれていきます。

 

大佐に昇格しますが、この地を去ることになります。

アラブ王国も英国軍もロレンスの役割はもう終わったとして、

切られしまうのでした。

 

砂漠を去るロレンスを乗せた車を一台のオートバイが通りすぎていきます。

それはオープニングのロレンスの姿であったのです。

©ソニーピクチャーズ

異国の世界に飛び込んだ人間を描くD・リーン

正直言うとD・リーン作品はなじめませんでした。

「アラビアのロレンス」を見たとき、何が名作なのか、よくわかりませんでした。

D・リーン監督は初期の作品はメロドラマが多かったようで、

そのなかで名作が「旅情」です。

アメリカ人女性がベニスに訪れ恋をするが、現実に目覚め帰国する話です。

「戦場のかける橋」は敵の捕虜にされた米英の軍人たちが共同作業していく。

「ドクトルジバゴ」は同じ国ですが、革命による社会、生活が一変し自由が束縛される一市民を描いており、遠く離れた地に放たれら人間を描いてきました。

この映画祭上映で少し理解できた次第です。

 

劇場で体感できる音楽の存在

画面だけでなく、劇場体感で作品につけられたアンダースコア、ソースミュージックも

その存在価値に気付きがありました。

激しいパーカッションに不協和音が織りなすのは

アラブ民族の複雑さ不寛容さを表現しています。

もうひとつのメロディはスローで優しい曲想ですが、

砂漠の世界観を映し出し、そこに人間の汚れや毅然としたものなど、

が溢れ出る、M・ジャールの作品づくりも感銘を受けました。

 

何度も見たくなる作品です。

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2 件の返信 (新着順)
spy master
2025/06/24 23:09

映画『アラビアのロレンス』はリバイバル上映で映画館のスクリーンで鑑賞しました。
広大な砂漠の映像、白いアラブの民族衣装に身を包んだピーター・オトゥールの姿、哀しみを宿したブルーの目、迫力満点の戦闘シーンに魅せられ、同時にイギリス軍上層部の思惑と意地汚さを感じました。今も続く中東における紛争の始まりを思い出させる内容です。

豆くん
2025/05/03 19:46

2回見たけど、もう一度見ても良い名作です。