DISCASレビュー

京介 バッジ画像
2025/08/23 13:20

宇宙大怪獣ドゴラ

宇宙大怪獣ドゴラ

 1964年 東宝 劇場公開:1964年8月11日

スタッフ 監督:本多猪四郎 特技監督:円谷英二 原作:丘美丈二郎「スペース・モンス」 

     製作:田中友幸、田実泰良脚本:関沢新一 音楽:伊福部昭 撮影:小泉一 

キャスト 夏木陽介、藤山陽子、小泉博、若林映子、ダン・ユマ、中村伸郎、河津清三郎、田崎潤、
     藤田進、田島義文、天本英世、桐野洋雄、加藤春哉、若松明、船戸順、堤康久、中山豊、

     岩本弘司、津田光男、当銀長太郎、広瀬正一 ほか

二十世紀後半。科学の進歩は著しく、すでに人間衛星は広大な宇宙に向って飛び立ち、その未知の世界にメスを入れていた。TV衛星は、そなえつけのカメラで宇宙の景観を地上の受像機に送りつつ、地球四周目に入ろうとしていた。が、突然巨大な宇宙螢に襲われ、衛星は爆発した。この様子を地上の宇宙電波中継所で見ていた桐野技官らは色めきたった。それから数時間たった真夜中。宝石商、天宝堂に五人組の強盗が押しいった。そのとき、五人組の前にピンク色の固りが現われ、金庫にはりつき、次第にヒトデように変化していった。金庫はすごい勢いで白熱化していった。五人組は一目散に逃げだした。一瞬後、金庫は爆発し、怪物はどこへともなく消えていった。翌日現場にかけつけた警視庁外事課、駒井刑事、結晶構造学の権威宗方博士らは、この猛威に呆然とした。そんなある日、駒井刑事は、貯炭場を襲った大怪物が、竜巻のような勢いで石炭を吸いあげる光景を目撃した。同行していた桐野は、怪物の啼き声から、TV衛星を襲った宇宙螢と同種のものであることを断言した。

従来の着ぐるみによる怪獣映画とは異なり光学合成による不定形の宇宙怪獣の表現に挑んだ異色作。ストーリー面でも、従来の人間対怪獣の構図に並行して宝石強盗団とそれを追うダイヤGメンや刑事との攻防戦が描かれるなど、スパイ映画のような要素が取り入れられており、娯楽性を高めている。

怪獣ドゴラは大変な工夫と苦労を重ねて撮影されたが、姿が不明瞭な怪獣とならざるを得なかったため、人間アクションに重点を置いた内容になったのはこのような面もあった。ドゴラを表現する技術力は評価されているが、怪獣としてのキャラクター性は薄いとされる。東宝プロデューサーの田中友幸は、自身では好きな作品であるとしつつ、目先を変えようとしてストーリーにリアリティを持たせたものの、ドゴラの形状が曖昧でうまくいかなかったと述べている。  

コメントする