「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」大人こそ楽しめる横溝正史的ミステリホラーの世界
今さら「ゲゲゲの鬼太郎」の映画と言われても、特に興味はないよ…という人は多いと思うのですが。
今回の鬼太郎映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」は、とても出来が良いです。鬼太郎を知らない…というか、最近の鬼太郎(いちばん新しいテレビシリーズは第6期!)を知らない人も、大人も、楽しめます。
大人も…というか、大人こそ楽しめる作品かもしれない。PG12指定で、残酷なシーン、暗いシーンも多く、小さな子供にはちょっと厳しいかも。
・横溝正史的本格ミステリー
今回の物語の構造は、横溝正史。「犬神家の一族」のテイストが濃厚です。
舞台は昭和31年の閉鎖的な田舎の村。
旧家の当主が亡くなり、その莫大な遺産をめぐって、遺族の間でギスギス、どろどろした諍いが発生します。
主人公の水木は戦争帰りの男。「総員玉砕せよ」の命令を受けて死地を見た上で生き残り、拾った命でのし上がろうと野望を抱いています。
水木が狙うのは、戦後の復興に貢献する「秘薬」の製法。その秘密をめぐって、村には因果因縁が取り憑いています。
そして、当主一族は一人また一人と残虐な方法で殺されていく…。
という、「どこが鬼太郎やねん」というおどろおどろしい物語。
鬼太郎だから…とか、子供も見るから…とかの手加減はないです。今どき珍しいくらいにストレートな、横溝的ミステリの世界は見応え十分です。
・「人間の怖さ」を描く壮絶な物語
そんな土着的ミステリの世界をベースに、「ゲゲ郎」と呼ばれる謎の男が縦軸となり、妖怪の世界が繋がれていきます。
物語は本格ミステリから、徐々に妖怪ホラーに軸足を移していくのですが。
その中で描かれていくのは、妖怪も凌駕する「欲に取り憑かれた人間の怖さ」。
これまた近年まれに見るレベルで、ゲスな、邪悪な、胸くそ悪い「悪」がじっくりたっぷり描かれます。
いやもう本当、そこらの「イヤミス」とか人怖系ホラー映画を軽く超えるレベルです。
・そして、泣ける
ゲゲ郎と水木の物語は最後、タイトルである「鬼太郎誕生」へと繋がっていきます。
そこがねえ。泣ける。
ひたすら邪悪で暗黒な物語の果てに、驚きの感動の涙へと導かれます。
1本の映画の中で、感情をぐるぐる振り回される。
怖くて、ムカついて、腹が立って、そして感動して泣ける。
かなり情緒不安定になります。そういう意味でも、閲覧注意かもしれない。
…という、実に強烈な映画になっています。
鬼太郎を知ってる人も知らない人も、「水木しげるの漫画や昔のアニメしか知らない!」という人も、何の問題もなく楽しめる作品です。
インパクトあるミステリ&ホラーが観たい人はぜひどうぞ!
今回の鬼太郎のベースとなるテレビアニメ第6シリーズはこちら。
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投稿を表示オトナなので観たいと思ってます笑
これ結構映画通の方の中では、かなり高評価ですよね〜。めちゃくちゃ興味湧きました!
ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示相当評判がいいようですね!
コラム読んでますます見たくなりました!
週末観に行こう!