ガメラ対深海怪獣ジグラ
ガメラ対深海怪獣ジグラ
1971年 ダイニチ映配 劇場公開:1971年7月17日
スタッフ 監督:湯浅憲明 脚本:高橋二三 製作:永田秀雅 撮影:上原明、藤井和文
キャスト 坂上也寸志、グロリア・ゾーナ、アーリン・ゾーナ、坪内ミキ子、藤山浩二、佐伯勇、
笠原玲子、吉田義夫、八並映子 ほか
人類は科学の進歩によって、自然を破壊する公害という大間題にぶつかった。広大な大字宙にも、地球同様の公害に悩む星があった。それは天体ナンバー一〇五系宇宙のジグラ星である。高度に発達した文明は公害を生み、住みにくくなった海中に生活する高等生物ジグラは、海のある惑星-地球を征服するべくやってきた。その頃、地球では、ペルーと中近東でマグニチュード十二という恐るべき大地震が相次いで起こった。この模様をTVニュースで知った国際海洋動物研究所の所員、石川洋介とトム・ウォーレスは調査のため、モーターボートで沖へ向った。その時突然、一条のグリーン光線がボートに命中し、ボート内に密かに忍んでいた彼らの子供健一とヘレン四人は、ジグラ星人の四次元光線にやられ、あっという間に宇宙船内に運ばれてしまった。石川とトムは、謎の女性Xに催眠術をかけられたが、健一とヘレンの活躍で脱出に成功する。が、ジグラ人の執拗な追跡で再び窮地におちいり、そこをガメラに救われた。

経営不振の渦中にあった当時の大映の作品にあって、まずまずの興行成績を記録したことから次回作の企画も出たものの、1971年12月に大映が倒産したため、結果として永田大映のガメラシリーズとしては最後の作品となってしまった。予算不足、人員の疲弊、労使交渉の激化などの問題を経た結果、本作は以前よりもストーリー上の展開にも荒唐無稽な描写が顕著であり、整合性の欠落も多い。また、当時の「大映ハレンチ青春路線」の新スターである八並映子の起用により、従来の大映特撮映画と比べて乏しかったお色気描写が強調された作風になっている。湯浅によると「お父さんへのサービス」だという。なお、本作は本シリーズにて環境汚染をテーマとして扱った最初の作品である。余談ではあるが、本作品のあと『ガメラ対大邪獣ガラシャープ』と題名がつけられた次回作の企画準備を進められていたが幻に終わってしまった。