DISCASレビュー

京介 バッジ画像
2025/08/08 16:41

汚れた英雄(1982)

汚れた英雄(1982)

 1982年 東映 劇場公開:1982年12月18日

スタッフ 監督: 角川春樹 脚本:丸山昇一 原作:大藪春彦 製作:橋本新一、和田康作

キャスト 草刈正雄、レベッカ・ホールデン、木の実ナナ、浅野温子、勝野洋、貞永敏、林ゆたか、

     奥田瑛二、磯崎洋介、朝加真由美、草薙幸二郎、中田博久、伊武雅刀、世良譲、辻萬長、

     望月太郎、中島ゆたか、清水昭博、夏八木勲、黒部進、菅田俊、平忠彦 ほか
全日本選手権ロードレース第8戦、メインレースの国際A級500cc決勝を迎え、SUGOのサーキットは興奮のるつぼと化している。北野晶夫と大木圭史の宿命の対決が始まろうとしていたのだ。晶夫が96点で1位、2位には連続チャンピオンを狙う大木、3位は若手の鹿島健がつけていた。いつものように晶夫が飛び出し、9周目にはコース・レコードを出す好調さだったがラストの直線で大木に抜かれ、一輪差で敗けた。敗因はマシーンの差、ファクトリー・チームの技術と組織の差だった。ともあれ、これで晶夫と大木が同点で、勝負は最終戦にもち込まれた。北野のプライベート・チーム〈KITANO〉は、メカニックの雨宮、かつてのライダー仲間・緒方、その妻でチーム・マネージャーのあずさ、その息子の和巳に支えられている。チームを維持する莫大な資金は、晶夫の美貌とセックス・テクニックによってパトロンとなっている国際的なデザイナー、斎藤京子、財閥の令嬢・御木本菜穂子が出しているがまだ世界を狙うには金がいる。晶夫は、折りから来日した、国際的なコングロマリットのオーナーのクリスティーン・アダムスに的をしぼった。

角川は、映画の主役は北野晶夫でなく、バイクレースそのものであると考え、レースを如何にセクシーに撮るかに拘った。そのため「他に監督がいないなら私がやるしかない。二輪レースを命がけで撮ろう」と、監督を自ら買って出るが、周囲は猛反対し、唯一賛成したのは俳優の松田優作だけだったという。演出経験を持たない角川は、脚本の丸山と相談し、極力台詞を削ることで映像の持つ迫力を前面に出す演出を心がけた。

余談ですが、角川はバイクの免許がないのに、サーキットの感覚を掴みたいと1982年9月に撮影の合間に乗ったバイクで転倒し、肋骨2本を折り、顔面を24針縫う大ケガを負った。

コメントする