村松健太郎
2024/05/22 17:25
描かないことで描かれる恐怖『関心領域』
今年のアカデミー賞で国際長編と音響部門の2冠を征した逸品。特に音響は『オッペンハイマー』に競り勝った形になってお見事の一言です。
本作の肝は、なんと言っても”描かないことで描く”ことでしょう。一見すると郊外の軍人の過程の物語にしか見えないのですが、時代は1940年代、舞台はドイツ、そしてこの豪邸は忌まわしきアウシュビッツ収容所の隣にある署長の家です。
しかし、それはセリフのごく一部やほんの一瞬映る建物の外側でしか知ることができません。
豪邸の中がまさにタイトルの”関心領域”となっています。
監督は異才・ジョナサン・クレイザー(ジャミロクワイの「ヴァーチャル・インサニティ」)。
寡作でしかも一風変わった映画ばかり作る人ですが、今作はある意味到達点と言える映画でしょう。
映像もそうですが、とにかく音響環境が良い劇場を選んでご鑑賞ください。
コメントする