DISCASレビュー

カッツ
2025/11/30 07:34

密偵

2016年公開韓国映画、日本統治時代の朝鮮を舞台に、実在した独立運動組織「義烈団」による抗日活動を描いた歴史サスペンスである。小説『1923年京城を揺るがした人々』をもとに、1923年3月14日〜16日に起きた「黄鈺警部事件」をモデルとしている。

物語は、義烈団の爆破計画を追う日本警察と、組織に潜入した密偵たちの心理戦を軸に展開され、緊張感と人間ドラマが交錯する。登場人物たちの信念や葛藤が丁寧に描かれており、単なる歴史再現にとどまらず、個人と国家、忠誠と裏切りといった普遍的なテーマが浮かび上がる

セットや衣装、街並みの再現は非常に精緻で、当時の京城(現在のソウル)の雰囲気がリアルに再現されている。時代考証も綿密で、映像から歴史の空気が感じられるほどの完成度がある。

ただし、韓国の俳優が日本語を話す場面では、発音やイントネーションに違和感があり、聞き取りづらい箇所が多かった。物語の理解に支障をきたす場面もあり、吹き替えや字幕の工夫があれば、より多くの観客に届く作品になったのではないかと感じた。

コメントする