吸血鬼ドラキュラ 1958
吸血鬼ドラキュラ 1958
1958年 イギリス
スタッフ 監督:テレンス・フィッシャー 製作:アンソニー・ハインズ 製作総指揮:マイケル・
カレラス 製作補:アンソニー・ネルソン=キーズ 原作:ブラム・ストーカー 脚本:
ジミー・サングスター 撮影:ジャック・アッシャー 特殊効果:シドニー・ピアソン
音楽:ジェームズ・バーナード
キャスト ピーター・カッシング、クリストファー・リー、マイケル・ガフ、メリッサ・ストリブリ
ング、キャロル・マーシュ、マイルズ・マレストン、ジョン・ヴァン・アイゼン、オルガ・
ディッキー、ジョージ・ベンソン、チャールズ・ロイド・パック、ジョージ・ウッドブリッ
ジ、ヴァレリー・ゴーント、ジャニーン・フェイ ほか
時は1885年5月3日、真面目そうな好青年ジョナサン・ハーカー(ジョン・ヴァン・アイゼン)が、トランシルヴァニア地方のクラウゼンブルク近郊にあるドラキュラ城へとやって来る。膨大な蔵書を整理するための司書として雇われたのだ。城内では夕飯の準備が整っており、外出のため遅くなるというドラキュラ伯爵からのメッセージが添えられていた。すると、いきなり謎めいた美女(ヴァレリー・ゴーント)が現れてジョナサンに助けを乞う。この城で囚われの身となっているらしい。大いに困惑するジョナサンだったが、そこへドラキュラ伯爵(クリストファー・リー)が帰還したため、謎の美女は慌てた様子で城のどこかへと姿を消す。ドラキュラ伯爵の案内で寝室へと通されたジョナサンは、外から部屋のカギをかけられて驚くが、しかしそれは想定の範囲内でもあった。おもむろに婚約者ルーシー(キャロル・マーシュ)の写真を荷物から取り出し、愛する人に思いを馳せながら日記をつけるジョナサン。実は、彼がドラキュラ城へやって来た本当の目的は、数百年も生きながらえる不老不死の吸血鬼ドラキュラ伯爵を退治するため。そう、ジョナサンの正体はヴァンパイア・ハンターだったのだ。

1958年のイギリスのハマー・フィルム・プロダクション製作の映画。ブラム・ストーカー原作の『吸血鬼ドラキュラ』の映画化。古典的名作。おなじみ「ドラキュラ」の恐怖を描いた内容。『魔人ドラキュラ』(1931年)のリメイク的な作品であり、内容は新しいものではありませんが、その作品や原作とは違うストーリーになっています。また『魔人~』はモノクロ作品。『吸血鬼ドラキュラ』はカラーで制作され、「血の色」などで生々しい映像になっています。演出面でもゴシックホラーのクラシカルな雰囲気に、スピード感溢れる展開を融合させた吸血鬼映画の代表作として、またホラー映画史上屈指の傑作として、現在でも高い評価を受けている。「吸血鬼ドラキュラ」を扱った数ある映画の中でも「吸血鬼ドラキュラ(1958)」がこれほど人気を博した理由のひとつには、善と悪の力関係が最適だったことが挙げられるのではないでしょうか。ちなみに、製作費を抑えるための知恵は豪華な美術セットにも絞られている。例えば、ドラキュラ城に入ってすぐの玄関ホール、ジョナサンのために食事が用意されていたドラキュラ城の広間、ジョナサンが吸血鬼美女に襲われるドラキュラ城の図書室、そして吸血鬼化したルーシーが少女タニアを連れて来る墓地の霊廟、これらのシーンは実はすべて同じセットの使い回しだったりする。装飾だけを変えることで、まるで別々のセットのように見せているのだ。このバーナード・ロビンソンによる工夫を凝らした壮麗な美術セットも大きな見どころで、照明を巧みに操る撮影監督ジャック・アッシャーのカメラワークの妙もあって、低予算映画らしからぬゴージャスな怪奇幻想美を存分に堪能させてくれる。余談ですが、日本で初公開された際、オリジナルには無いカットが含まれている別編集版が上映されていました。