『不貞の季節』(2000年、大杉漣主演)は、SM作家とその妻の哀しくも滑稽な愛の行方を描いた艶笑ドラマである。物語は、谷崎潤一郎の『鍵』を思わせる展開を持ちながら、主人公であるSM小説家が、妻の弟子との不倫を容認し、さらには推奨するという倒錯的な関係を描いている。
作品全体は文学的深みという点では『鍵』には及ばないものの、夫婦関係の歪みや欲望の奇妙な連鎖をユーモラスかつ哀切に映し出している。映画のタイトルから想像されるほど過激な描写はなく、むしろ控えめで、ロマンポルノ的な雰囲気を漂わせつつも人間模様に焦点を当てている。