ぼろっぼろだけど最高の愛【さよなら ほやマン】
東日本大震災から12年後、未だあの日から前に進めない人たちもいる。
宮城県石巻市から船で1時間ほど行ったところにある網地島で暮らす兄弟の愛の物語。
人生にもがきながらも懸命に前に進もうとする人たちに贈る応援歌のような作品です。
🎦さよなら、ほやマン🎦
2023年 106分
監督・脚本:庄司輝明(石巻・湊出身)
出演者:アフロ(MOROHA)----アキラ(漁師(まだ半人前))
黒崎煌代----シゲル(アキラの弟。障がいを持つが明るく素直な青年)
呉城久美------ミハル(東京からきた漫画家、ガサツで礼儀知らず)
津田寛治-------タツオ(アキラの叔父(漁師(一人前))
松金よね子-----春子さん(近所に住む優しいおばあちゃん)
あらすじ(映画.comより抜粋)
宮城県石巻市の離島を舞台に、漁師の兄弟と東京から来た漫画家の奇妙な共同生活と家族の再生を描いたヒューマンドラマ。
豊かな海に囲まれた美しい島で一人前の漁師を目指すアキラと、生まれつき障がいを抱える弟のシゲル。両親は行方不明で莫大な借金を抱えているが、島の人々に助けられながら、どうにか暮らしている。そんな彼らの前に、都会からやって来た訳ありの女性漫画家・美晴が現れる。美晴は兄弟に彼らの家を売ってほしいと言い出し、3人はなぜか一緒に暮らすことになるが……。
2人組バンド「MOROHA」のMCアフロがアキラ役で映画初主演を務め、NHK連続テレビ小説「まんぷく」の呉城久美が美晴、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」の黒崎煌代がシゲルを演じる。本作が長編デビューとなる庄司輝秋監督が、自身の故郷である石巻でオールロケを敢行した。
アキラ(32才)
主演のアフロさんの演技は素人レベルなるも、味があって自然体で、不器用にしか生きられないアキラそのもの。津波に流され未だに行方不明の両親が漂っているはずの海。だから海のものはあの日から絶対に食べないという信念を頑なに守っている。船ごと流された両親。両親のあとを継いで漁師になるため借金して船を買うが、親の残した借金もあり、日々かつかつの生活。それでも障害のある弟シゲルは自分が面倒見る!と奮闘の日々。一人前の漁師を目指しているが、海へのトラウマなのか、うまくいかない。そんな中、借金を返すために、かつて父親がイベントでこさえたほやマンの被り物のことを思い出してYouTuberとして成功を目指す。まあ、正直あのクオリティではなかなか難しいだろうな、とは思ったが。。。
シゲル(年齢不詳、23才ぐらい?)
彼は発達障害なのかもしれない。でも明るくて素直な良い青年。兄のアキラを心底慕っている。人との関わり方が上手くできないのに何故かミハルとは馬が合う。それもそのはず、ミハルの描いた漫画は兄弟で読んでいる愛読書だった!アキラから海のものは食べるなと言われて、12年も我慢している。食事はカップラーメンばかりなのか?部屋に山積されていた。栄養のバランス悪!!
シゲルを演じている黒崎煌代くんはNHKの朝ドラ「ヴギウギ」でも、主人公スズ子の弟役を演じていたが、あの役も障害のある役だった。めちゃ、ハマり役!うまい!上手過ぎる!
ミハル(年齢不詳、32-35歳ぐらい?)
東京から島にやってきた売れっ子漫画家。ガサツで横柄な性格。子供の時から、グーでもパーでも殴られていたと言っていたので、親からDVを受けていた模様。元ヤンキーなんだろうけど、たぶん苦労したのに違いない。なぜか1000万円の現金を無造作に袋に入れていて、この現金でアキラたちの家を売って欲しいとずかずかと家に上がりこんでくる。
ガサツで嫌な女だとばかり思っていたけど、その実いろいろ抱えていることが判るにつれ、本当は案外心優しい女性であることが判明。次第に兄弟にも心を開いていく。
叔父のタツオと近所に住む春子さん
この二人は、アキラとシゲルを支えてくれる人たち。漁師であるタツオはアキラを一人前の漁師にしたいと考えている。タツオ演じる津田寛治さんの色の黒さがまさに漁師!いい感じにかっこいい!
春子さんは、ずっとこの島にいたことを少し後悔しているが、凛とした強さのあるおばあちゃん。ミハルに、二人を騙したら私が許さないよ、と言ってアキラとシゲルを心底心配し応援している。
それぞれが心に抱えている悲しみと苦しみ
震災から12年。時は傷を癒すどころか、未だにあの日から抜け出せていないアキラとシゲル。売れっ子漫画家であるが故の辛さがあるミハル。それぞれが抱えている苦しみと悲しみが入り乱れて、やがて映画はクライマックスへ。
↓シゲルのこの笑顔には癒される~。
父ちゃん、母ちゃん、ごめん。俺が意気地がなかったから、二人を死なせてしまった、と思っているアキラ。12年前のあの日から、果たして抜け出せるのか?
とても良かったです!全くのノーマークの映画でしたが、これは拾い物でした。不器用な生き方しかできない人たちへの応援歌。多くの人に見て欲しい作品です。
*しかしながら本作は今のところユーネクストの独占配信となっています(ポイント使用)