DISCASレビュー

64 ロクヨン 後編

たった一週間しかなかった昭和64年。最後の昭和に起きた少女誘拐殺人事件。刑事部では「ロクヨン」と呼ばれ未解決のまま14年の歳月が過ぎ時効を迎えようとしていた。当時刑事で「ロクヨン」の捜査をしていた主人公の三上は、現在広報官。記者クラブとの確執や警察内部との抗争が繰り広げられる中、「ロクヨン」をなぞったような新たな誘拐事件が発生する。ベストセラー作家・横山秀夫の小説「64(ロクヨン)」を2部作の映画化にしたサスペンスミステリーの後編。

前編も後編も過剰な演技、テンポや演出、美術も含め全体的にどこか物足りなさが歪めない。前編は誘拐事件から警察内部抗争や豪華な俳優陣が次々と登場したり新鮮度があったが、後編は新たな展開をみせるが真新しさは無く刺激が少ない。映画なのに使い回しの回想シーンも多くわざと映画の尺を引き延ばしをしているような感じがして、これなら2部作にせず3時間半程度の1作のみでまとめられたのでは?と思う。テレビドラマスペシャルを見てるような気分でXmasや年末年始とかどこか3~4時間の枠を作ってテレビドラマスペシャルの特番として放映する程度の内容。とにかく映画っぽさを感じない。これは完全に個人的な好みになるが、この映画は原作と異なるラストとなっている。原作通りの落ちにした方がむしろ映画としての余韻に浸れてまだ良かったのでは?と思った。別件の妊婦ひき逃げ事件、警察内部抗争のその後はどうなったのか?そして豪華で魅力ある俳優陣たちが演じた他の登場人物たちのその後はどうなったのか?など変に役者の存在感があるだけに気になる。色々と釈然としない嫌なモヤモヤ感だけが残り、はっきりとした落ちのはずが逆に中途半端で消化不良な作品となってしまった。最近の邦画は面白い作品も増えてきましたが、この作品はつまらない邦画の典型例をよく表していると思いました。

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