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2025/12/12 21:50

緯度0大作戦

緯度0大作戦

 1969年 日本・アメリカ 劇場公開:1969年7月26日

スタッフ 監督:本多猪四郎 製作:田中友幸 脚本:関沢新一、テッド・シャードマン 撮影:完

     倉泰一 美術:北猛夫 音楽:伊福部昭 監督助手:谷清次 特技監督:円谷英二 撮影

     :富岡素敬、真野田陽一 美術:井上泰幸 操演:中代文雄 監督助手:中野昭慶

キャスト 宝田明、ジョセフ・コットン、シーザー・ロメロ、岡田真澄、リチャード・ジェッケル、

     リンダ・ヘインズ、パトリシア・メディナ、中山麻理、中村哲、平田昭彦、大前均、黒木

     ひかる、黒部進、西條康彦、中島春雄、関田裕 ほか

海底油田の調査に、潜水球で大陸棚探険に出かけた、物理学者田代健、海洋地質学者ジュール・マッソンと記者ペリー・ロートンの三人は、不思議な潜水艦アルファー号に救われた。乗組員はマッケンジー艦長、部下の巨漢甲保、物理学者で女医のアン・バートンの三人。重傷のマッソンのために、彼らの基地「緯度0」に艦を帰港させた。そこは海底二万メートル、人工太陽の下のパラダイスだった。そんな天国にも敵がいた。超能力の潜水艦黒鮫号を擁し、ブラット・ロック島に基地を持つ悪の天才マリクと情婦ルクレチアだ。彼らは人類を征服し、「緯度0」を破壊する目的でノーベル賞受賞の科学者岡田博士とその娘鶴子を誘拐した。マリクは博士の発見した放射能免疫血清の方程式を要求し、拒絶されるや、彼と娘を監禁した。これを知ったマッケンジーは罠を承知で、ブラッド・ロック島を攻撃した。

本作品の起源は、1940年代にNBCラジオで放送された、テッド・シャードマン原作のラジオドラマ 

"Tales of Latitude Zero"(緯度0の物語)である。東宝の日米合作によるSF大作映画でストーリーは『海底二万里』を現代的にアレンジしたような冒険ファンタジーとなっている。外国人キャストには、ハリウッドの一流俳優が起用された。日本人キャストでは、「英語を話せる俳優」を中心に人選がなされ、宝田明、岡田真澄、平田昭彦ら英語力の優れた映画俳優が起用されたほか、元宝塚歌劇団の男役でミュージカルなどの舞台で活躍していた黒木ひかるが「黒い蛾」を演じた。台詞はすべて英語で撮影され、日本語版はアフレコで日本語に吹き替えられている。今作目玉の潜水艦、アルファー号と黒鮫号もとにかくかっこよいデザインでした。武器を持たないアルファー号はスマートでラストでは飛行形態まで備わるし、対象的に黒鮫号は名前の通りサメのような攻撃的なフォルムが印象的。ただメカや特撮シーンは良いところがあるものの、ストーリーの終盤に登場する合成怪獣は不気味さはあるもののキグルミ感丸出しでとにかく酷い。撮影中アメリカ側のドン=シャーププロが倒産し、東宝が制作費を全額負担せざる負えなくなった中での撮影のため、その影響が出てるのかもしれませんがもう少しなんとかならなかったんかなと思ってしまう。緯度0の雰囲気や二隻の潜水艦に特撮シーン、不思議なラストなど見どころも多く楽しめる要素がたくさんある作品でした。

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1 件の返信 (新着順)
さっちゃん
2025/12/14 22:45

 これは子供のときに劇場公開されたのですが、そのときは観ることができませんでした。何だかアルファー号がカッコイイなって思ったのですが、後年、DVDだったかCSだったかで観れたときには緯度0の基地のユートピアぶりに感心したり、アメリカ側の俳優陣が『第三の男』のジョゼフ・コットンとか『特攻大作戦』のリチャード・ジェッケルとか『オーシャンと十一人の仲間』のシーザー・ロメロとか結構な面子であるのに感心したりしました。
 特撮の本家本元の東宝と比べると京介さんが書かれているように合成怪獣のチープさが目立ちますが、アルファー号や黒鮫号のメカは昔、少年週刊誌のグラビアで見たとおりカッコイイので嬉しかったですね。あと合成怪獣のラスボスといえばいいんでしょうか、グリホン(だったと記憶してます。)に黒い蠍の脳を移植するなんてグロいシーンもあって、あれは気持ち悪かったです。


京介 バッジ画像
2025/12/15 13:04

いつもありがとうございます。

「さっちゃん」さんが言うようにアメリカ側の俳優陣ハリウッドの一流俳優ばかりですね。宝田明は、後年本作品を印象に残る作品の1つに挙げており、コットンらハリウッドの名優の芝居を間近で見られたのが有意義であったと述べています。コットンは偉ぶっているわけでもなかったけど、スタッフや共演者に挨拶もしなかったそうです。言葉の壁がやむを得なかったのだと思います。シーザー・ロメロは日本語は話せなかったが挨拶は交わしていたそうです。リンダ・ヘインズに至っては片言の日本語を交えて挨拶をしていたといいます。
また、ラストのブラッドロック島が大爆発を起こすシーンでは、あまりの爆発の大きさに、事前に連絡していたにもかかわらず消防車が撮影所に駆け付けたとの事なので、相当の爆発シーンだったと思われます。
企画をドン=シャーププロに持ち込んで実現した次第ですが、ドン=シャーププロが途中で倒産しなければ多少は変わっていたかも知れませんね。
別の話ですが、
当初、東宝では1966年にSFメカニック映画『空飛ぶ戦艦』が企画検討されていましたが、本作品がそれに替わった為、『空飛ぶ戦艦』の企画は円谷プロの『マイティジャック』として蘇ることとなりました。