ストーリー

「ザ・シェルタリング・スカイ」（1990年）のサウンドトラックは、ベルナルド・ベルトルッチ監督のサハラ砂漠を舞台にしたドラマを彩る、坂本龍一の繊細かつ神秘的なスコアが中心の作品。ポール・ボウルズの原作に基づく映画の孤独と喪失感を、坂本のミニマルなピアノとエキゾチックな弦楽やパーカッションが表現。北アフリカの風景や文化を反映したアラビア風の旋律と環境音が、キット（デブラ・ウィンガー）とポート（ジョン・マルコヴィッチ）の内面的な旅を深化させる。特に「The Sheltering Sky Theme」は、静謐でありながら情熱的なメロディで映画の核心を捉える。民族音楽や現地の歌も織り交ぜられ、異国情緒と疎外感を強調。全体として、映画の哲学的で瞑想的な雰囲気を音で体現した名盤だが、単体ではやや抽象的で映画の文脈に依存する部分も。坂本の感性が光る、思索的なサウンドトラック。