新作前におさらいするならスクリーンで!
スペクタクル映画の達人
リドリー・スコットが描くローマ時代
脚本
ジョン・ローガン/ウィリアム・ニコルソン
脚本・原案・制作
デヴィッド・フランゾーニ
監督
リドリー・スコット
第73回アカデミー賞で作品賞・主演男優賞など5部門に輝いたスペクタクル史劇。今回4Kデジタルリマスター版として復活上映。新作が11月15日から公開、是非この機会に迫力のアクションと人間ドラマをスクリーンで!
復讐。敵討ち。
奴隷にまで落ちた将軍が、頂点である皇帝に抗う。コロセウムに集まったローマの民が味方するのは、どちらだ?
冒頭、ゲルマニアに勝てばローマ帝国安泰という所から始まり、皇帝アウレリウス(リチャード・ハリス)に忠誠を違う将軍マキシマス(ラッセル・クロウ)が、軍を鼓舞する。「隊列を崩すな!我に続け!」この場面は、同じくリドリースコット監督作品『ナポレオン』を思い出す。戦略もあり、見事に戦果をあげたマキシマス。もう2年以上妻子の元へ帰っていない。元々、農夫である彼は家族と穏やかに過ごす事を夢見ていた。
戦いが終わり、皇帝アウレリウスの子供達であるルッシラ姐さん(コニー・ニールセン)と弟コモドゥス(ホアキン・フェニックス)が、へらへら戦場に現れる。この時既に、皇帝アウレリウスの気持ちは決まっていた。ローマは民のもの。この大帝国の安泰を継続するには、我が息子ではなく、マキシマスが必要だと。
拗らせ皇子、コモドゥス
皇帝アウレリウスは、コモドゥスが歪んだ野心の持ち主だと分かっていたし、昔マキシマスと恋仲だった娘ルッシラの方が、政治的にも優れている事も。しかし、いつの世も上手くはいかない。息子を決して愛していなかったわけではないが、それが伝わらない。結局、コモドゥスは父をその手で殺めてしまうし、それはマキシマスやルッシラにもバレバレ。姑息な皇帝コモドゥス、暴走モード突入。ヤバい事しちゃって、誰も信じられないし、だけど従わせたいし、皆から崇められたい。コモドゥスがとにかく卑怯で情けなくて、哀れな皇帝。愛情に飢えていて、本当に可哀想な男。皇帝の座を危うくするであろうマキシマスを、彼の妻子を殺し、どこまでも地に落とす。
グラディエーター(剣闘士)
マキシマスの誕生
奴隷となり将軍だと誰も知らない土地で、剣闘士(グラディエーター)として人気を博していくマキシマス。しかし、彼の心にいるのは、故郷の亡くした妻子と、コモドゥスへの復讐心のみ。面白いのが、奴隷としてバラバラのはずであるグラディエーターを、いつの間にかまとめてしまうのがマキシマスという所。
会話劇としての面白さ
そして、皇帝コモドゥスとの再会の時、マキシマスが放つ言葉がシビれる。
「真の皇帝マルクス・アウレリウスの忠実な僕。息子を殺された父。妻を殺された夫。今世か来世で復讐を果たす」
私が特にお気に入りの台詞は
マキシマス「死が皆に笑いかける、人は笑い返すだけ」
コモドゥス(ややバカにして)「その男は笑ったか?」
マキシマス「思い出せ、そなたの父上だ」
このコモドゥスとのやり取りが秀逸。非常に知性も感じられる。その後この作品の中で1番の卑怯者コモドゥスが見られるのだが、とにかく憎らしくてイライラする。
怪優、ホアキン・フェニックス
アクションも見どころですが、コモドゥスの焦燥感と運命に翻弄される男マキシマスから目が離せない。今巷では『JOKER』のホアキンの演技が絶賛されてますが、この作品でのホアキン、ラッセルクロウ以上に素晴らしい。
史実に基づきながらも、ストーリーはシンプル。愛憎渦巻く人間ドラマなので、男性だけでなく女性にもしっかり刺さる事間違いなし。
エンドロール後、新作へ繋がる予告。出演者たちのインタビューも入りながらなので、是非最後まで立たずにご覧下さい。新作は11月15日公開です!