「コーダ あいのうた」
今月のお題…音楽映画とのことで、「コーダ あいのうた(シアン・ヘダー監督、2021年作品)」をとりあげてみます。
コーダ(CODA)はChildren of Deaf Adultsの略。聴覚障害のある親のもとで暮らす「聴こえる」子ども(健聴者)のことをいいます。
本作は、CODAであり歌を歌うことが大好きな女の子の葛藤、旅立ちを描いた作品です。
第94回米アカデミー賞作品賞、脚色賞、助演男優賞(トロイ・コッツァー)を受賞したことで多くの人に届いた作品だったようにも思います。
わたしは「シング・ストリート」のフェルディア・ウォルシュ=ピーロ君のインスタで本作のことを知り(「CODA」が何なのかよくわからないまま、彼の歌がまた聴けるのかしらと楽しみで)、公開初日(2022年1月21日)映画館へ飛んでいきました。
ストーリー
主人公ルビー(エミリア・ジョーンズ)は「聴こえない」両親&兄を持つ、CODAの女の子。漁師の父フランク(トロイ・コッツァー)と兄レオ(ダニエル・デュラント)とともに、明け方から漁船に同乗して漁を手伝っています。それだけでなく、父・兄と漁協の間にはいり手話を駆使して通訳するなど、まだ高校生ながら家業を支える存在です。
自分なしでは外界とやりとりできない家族に苛立ち、同級生からは容赦なく揶揄される日々。
ルビーが自分の思いを素直に語れない子に育ったことは、当然のことだったかもしれません。
そんなルビーの密かな生きがいは歌を歌うこと。
漁船で仕事しながら、学校へ向かう自転車をこぎながら・・
歌は彼女を別世界に誘い、いっときでも現実を忘れさせてくれるかのようです。
ある日、同級生マイルズ(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)が選択科目にコーラス部を希望したのを知り、ルビーも同部に参加。ルビーは彼にほのかな思いを寄せていました💕
コーラス部に参加したことで、ルビーの「歌人生」は突如展開していきます。
ルビーは歌い続けることができるのでしょうか、たとえ家族の耳には届かないとしても・・
ぜひサウンドトラックとセットで♪
本作はフランスでヒットした映画「エール!(エリック・ラルティゴ監督、2015年作品)」のリメイク版です。本家「エール!」には、さすがフランス人✨と思わせる大人っぽい恋の歌など、ヨーロッパの感性を醸した歌曲が登場し、それも作品の魅力となっています。
いっぽう「CODA」はより主人公の心情を反映し、かつ胸躍るような親しみやすい選曲であることが感じられます。
鑑賞後、映画館のショップで即サウンドトラックgetすることがたまにありますが、本作もそのパターンで購入しました。
映画の冒頭、漁船での作業中にルビーが大声で歌っているのはエタ・ジェイムスの「Something's Got A Hold On Me」。「何かが私の心をつかんで離さない」というフレーズそのままに、ルビーの心が歌に強く惹きつけられていることを物語っています。
マーヴィン・ゲイ&タミー・テレルの「You're All I Need To Get By」はルビーとマイルズがコーラス部でデュエットする曲。「あなたはわたしのすべて」という歌詞は恋が走り出す瞬間にピッタリですね✨ ふたりの歌声、ハーモニーがとても美しく、サウンドトラックのフルバージョンは超オススメです。
ルビーが音大受験シーンで歌う「Both Sides Now(青春の光と影)」は、多くのミュージシャンにカバーされているジョニ・ミッチェルの名曲。エミリア・ジョーンズの歌唱力は素晴らしく、何度みても聴いても涙を誘われます。「物事の両面を知る」というタイトルにあるように、これまで見えていたものと違う真実、進むべき道をルビーが見出す瞬間と重なる感動的な選曲です。
聴こえなくても感じる音楽
ルビーの家族にキャスティングされた3人は実際に「聴こえない」俳優さんたち。母ジャッキーを演じたマーリー・マトリンは「愛は静けさの中に(ランダ・ヘインズ監督、1986年作品)」で聾の俳優として初の米アカデミー主演女優賞を受賞したことでも知られています。
「愛は静けさの中に」は聾学校の用務員サラ(マーリー・マトリン)と教師として赴任してきたジェームズ(ウィリアム・ハート)のラブ・ストーリー。
最も印象に残っているのが、サラがレストランで音楽に合わせて魅力的に踊る様子です。その姿がとても素敵なうえに「聴こえなくても音楽を感じている」のが伝わってきて、胸があつくなります。
気が強く繊細なサラを演じたマーリー・マトリン、その美貌にも圧倒される作品です。
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投稿を表示エミリア・ジョーンズが歌う『both sides now』素晴らしかったですね。聴いている側の家族3人の無音の演出も良かったし、アカデミー賞も納得の作品でした🥹フランス🇫🇷版オリジナルの『エール』も良かったです。
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投稿を表示「愛は静けさの中に」という作品もあるんですね。「エール」は、フランス映画の中でも人気の高い作品ですね。その頃は知らなかったのですが、2年前のシャンソンコンクールで賞に入った方は、「En Chantant」を歌われていました。いい曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=k8CDcZZx_NI
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