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私の好きな映画

じょ〜い小川
2024/07/09 14:58

ブライス・ダラス・ハワードの変貌と二重構造のスパイアクションを楽しむ『ARGYLLE/アーガイル』 

■ARGYLLE/アーガイル

(c)Universal Pictures

《作品データ》

『キック・アス』『キングスマン』シリーズのマシュー・ヴォーン監督が豪華キャストを迎えて新たに放つ痛快スパイアクション映画! ベストセラースパイ小説「アーガイル」の作者エリーは、新作の準備中に列車で謎の男たちに命を狙われ、エイダンと名乗るスパイに助けられる。彼女は小説を書くことで裏の組織から「予言者」として重要な存在と見られていたのだ。そして、エリーは冒険のなかで小説と現実の区別があいまいになり……。

主演をブライス・ダラス・ハワード、エイダン役をサム・ロックウェル、その他ヘンリー・カヴィル、ジョン・シナ、サミュエル・L・ジャクソン、シンガーソングライターのデュア・リパ、ブライアン・クランストンら個性派キャストがそろった。

・TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー中!

・配給:東宝東和

【スタッフ】

監督・製作:マシュー・ボーン/脚本・製作:ジェイソン・フックス

【キャスト】

ヘンリー・カヴィル、ブライス・ダラス・ハワード、サム・ロックウェル、ブライアン・クランストン、キャサリン・オハラ、デュア・リパ、アリアナ・デボーズ、ジョン・シナ、サミュエル・L・ジャクソン

原題:Argylle/製作国:イギリス、アメリカ/製作年:2024年

・公式HP: https://argylle-movie.jp/


〈『ARGYLLE/アーガイル』レビュー(レビュアー:じょ~い小川)〉

『キック・アス』や『キングスマン』シリーズなど異色のアクションヒーローを次々と生み出すマシュー・ヴォーン監督による新たなるスパイアクション映画『ARGYLLE/アーガイル』

(c)Universal Pictures

ポスターの並びから、てっきり角刈りのヘンリー・カヴィルが主演のスパイアクションかと思いきやそうではなく、どちらかと言うとブライス・ダラス・ハワードが演じるエリーとサム・ロックウェルが演じるエイダンによる虚実、妄想、催眠を交えた二重三重の裏切りを交えたスパイアクションで、

マルチバースが流行ってる昨今のヒーロー映画らしく、個人的にはかなり楽しめた!

 

スパイ小説「アーガイル」の著者であるエリー・コンウェイがスパイのエイダン・ワイルドとの出会いから巻き込まれるようにスパイ組織ディヴィジョンに狙われ、エイダンと共にロンドン、南フランスへと渡り、真の目的に迫る。スパイや敵組織が創作と劇中現実の二重構造になっているだけでなく、主人公エリーや彼女に関連するある主要人物も劇中で作り上げた設定と真の設定と二重構造になっていて、劇中における虚実やエリーによる妄想、さらには催眠作用まで使い、やや複雑な劇中世界を作り上げている。

(c)Universal Pictures

この組織名の“ディヴィジョン(Division)”には「分割」とか割り算を意味する「除算」という意味がある。これだけだと分かりにくいのでさらに加えると、イギリスのプログレッシブ・ロックのバンドのピンク・フロイドが1994年に発表したアルバムのタイトルが『The division bell』(邦題『対』)でシンメトリーに分割されたオブジェクトがアルバムジャケットになっているが、

 

この映画におけるスパイ組織やメインキャスト、周辺人物も実はこの『The division bell』のジャケットと同じ構造で、現実と虚構が分割されながらも交わっている世界を描いているが、

現実と虚構は表裏一体、左右対称のシンメトリー構造になっている。

このため、同じマシュー・ヴォーン監督作品の『キングスマン』シリーズの様なストレートな展開とは違ったスパイアクション映画に仕上がっているが、これはこれで二重三重スパイの捻り方が面白く、そこを楽しめるかどうかが本作の評価の分かれ目になる。

 

ストーリー展開そのものはスパイ組織デヴィジョンに関する機密情報を巡る攻防で、これを小説家がアクション映画的な世界に巻き込まれるサンドラ・ブロック主演の『ザ・ロストシティ』と上手く融合させた感じのロマコメ+スパイアクション映画に仕上がっている。

そこに、後半から終盤にかけて煙幕や石油、ナイフを使ったキレッキレなアクションがあり、そこはいかにもマシュー・ヴォーン監督作品らしい。

(c)Universal Pictures

それと、本作の真の主演となるブライス・ダラス・ハワードの変わり様についてここで特筆したい。

かつて、『ヴィレッジ』や『マンダレイ』で主演に抜擢された時はちょっと弱々しい少女だったのが、

今回はまさかの大増量。

近年の『ジュラシック・ワールド』シリーズの頃と比べてもその増量っぷりは著しく、まるで『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズのレニー・ゼルウィガーみたいになってしまった。あと、胸の大きさもしかりだがそれ以上に気になったのは目の大きさである。『ヴィレッジ』や『マンダレイ』の頃は目の小ささからロン・ハワード監督の娘であることが分るぐらいだったが、本作ではメイクのおかげなのか目の大きさも気になったが、このおかげでスパイアクションの展開にも耐えられるヒロインとして説得力がある目になった。こうした大増量と目の変化で、これまでとは違ったブライス・ダラス・ハワードになり、アクションも出来る(スタントは当然として)コメディエンヌに変貌を遂げた。

 

つまり本作は組織、

メインキャスト、周辺人物の二重構造のスパイアクションの展開と変貌を遂げたブライス・ダラス・ハワードの映画であり、これまでのスパイアクション映画、マシュー・ヴォーン監督作品とは違った新感覚且つ変化球のスパイアクション映画で大いに楽しめる。

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