DISCASレビュー

女優の演技に涙する・・・「晩春」

小津安二郎ー原節子主演の第一作でキネ旬1位の作品です。父が親離れしなひとり娘を周囲からの助言で嫁ぐまでのお話。のちの「麦秋」では父役の笠智衆は兄となり、ここも嫁ぐまでのお話。小津監督の遺作「秋刀魚の味」は同じストーリーですが、ここに戦争体験を挿入しています。

父、笠智衆が原節子を嫁がせるため、のち添えをもらうと原節子の追及に「うん」と答えます。笠智衆の表情はずっと変わらず淡々としているのに対して、原節子はうらめしい表情。ようやく結婚を決意したことえ父との最後の旅行、最後の日にも「お父さんといたい」と懇願します。笠智衆はこれまた淡々と言い聞かせます。「わかってくれるね」と決意させます。脇役で登場する笠智衆の妹、杉村春子はお節介焼きで言いたいこというのですが、祝言の日に花嫁姿の原節子を見て、「お母さんに見せたかったよ」と泣きます。この一言につられて自分は泣いていました。父、笠智衆はぶれず淡々としています。笠智衆の抑揚のない演技に対して、動静を見せる杉村春子の一瞬の演技に負けました。

原節子の友達、月丘夢路が笠智衆と式のあと、お店に行きます。月丘夢路はおじさまの再婚を問いただします。それはうそだと。そうでも言わないと嫁いでくれそうもないから、仕方なく言ったと。そこで月丘夢路が笠智衆に抱ききついてキスをします。小津作品で珍しいキスシーンがありました。

 

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