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2024/10/17 21:07

親ガチャ失敗のすゝめ

笑えるとこなど1つもない、八方塞がりの見本みたいな家族。

監督:内山拓也

製作国:日本・フランス・韓国・香港合作

時間:119分

映倫区分:PG12


あなたなら、どうする?


こんな時、あーしたら良かったとか、こーしなきゃとか思う所満載。誰かにある日、突然訪れるかもしれない不幸。そしてあの状況では、皆が皆彩人(磯村勇斗)になっても仕方ないか?と言えばそうではない。でもそうなるかもしれない。この作品を観て、自分ならどうするかな、とかその時自分ならこうしよう、とか思ってもらうのが狙いなのかもしれないが、同じ親から生まれて育ち、今もひとつ屋根の下で、事故後の母親と暮らす兄弟なのに、結果が違う事に意味があると思う。


そこから逃げ出さない兄、彩人


彩人は学生時代にサッカーが得意で、エースでキャプテン。当時から彼女の日向(岸井ゆきの)が傍に居た。

風間家は、脳に障害が残った母親(霧島れいか)と2人の兄弟、彩人と壮平(福山翔大)が住んでいた。父親(豊原功補)は脱サラして店を出すも、借金して自殺している。

病とはいえ、人としての何かを失ってしまった母を診るのは辛かっただろう。逃げ出すことなく寄り添う彩人には頭が下がる。しかし、私にはまるで呪いにかかっているように見えた。彼の中にはもう、怒りという感情は枯れてしまっていた。怒りは時に必要だ。自分を正しい所へ突き動かす原動力になる。きっと優しいのだ。そして弱すぎる。ちなみに唯一カチンときたのは、こんなに生活に困窮しているだろう彩人がいつまでも父親と同じハイライトを吸い続けていた所だった。しかも気管支も悪そうなのに。吸入しながらタバコとか、もうあり得ないんだけど、あり得るんだよなって自分の体験を思い出して、ギュッとなる。


何度も出てくる、銃殺シーン


最初はチャリで坂を下りる彩人が、突然こめかみに拳銃をあてて呆気なく引き金を引く。衝撃的だし、タイトルも出る。それだけ重要な意味があるんだろう。次は、壮平に親友の警官治虫(伊島空)が後ろから拳銃を真似た指を突き付ける。そして最後には、彩人に対して暴力的な警官(滝藤賢一)が何者かによって銃殺される。

あれはその人が、自分を殺したくなった瞬間か。あるいは、核となる自分の何かが死んだ、という意味か。彩人の最期が警官と関係しているのは、父親の因果めいたものも感じた。


【正しい不幸の向き合い方】


壮平は、自分の居場所を見つける事が出来た人間。あーゆーストレスやフラストレーションは、スポーツ等で発散するのが1番良いと思う。この壮平が修斗をやっているのだが、めちゃくちゃカッコ良かった。私が唯一涙を流したのは、このタイトル戦だ。

そして親ガチャ失敗サバイバーとして、見習うとこしかなかった。

しかし、兄が居たから壮平は光に向かう事が出来たのかもしれない。皮肉な話だ。

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