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私の好きな映画

じょ〜い小川
2025/03/26 20:04

笑福亭鶴瓶による夫婦の絆と「学び」の大切さ『35年目のラブレター』

■35年目のラブレター

(c)2025「35年目のラブレター」製作委員会

《作品データ》

2003年に朝日新聞で紹介された夫婦の実話を基にした笑福亭鶴瓶主演のヒューマンドラマ。寿司職人として働いてきた西畑保は、定年退職を機に、最愛の妻・皎子の感謝の気持ちを手紙で伝えるために夜間中学に通い始めることに。長年、読み書きができなかったことを苦にして来たがゆっくりながら読み書きが出来るように。主人公・西畑保役を笑福亭鶴瓶が演じ、他原田知世、重岡大毅、上白石萌音、徳永えり、ぎぃ子、辻本祐樹、本多力、江口のりこ、瀬戸琴楓、白鳥晴都、くわばたりえ、笹野高史、安田顕が出演。

・3月7日(金)より、丸の内TOEI他全国ロードショー中!

・配給:東映

・上映時間:119分

【スタッフ】

監督・脚本:塚本連平

【キャスト】

原田知世、重岡大毅、上白石萌音、徳永えり、ぎぃ子、辻本祐樹、本多力、江口のりこ、瀬戸琴楓、白鳥晴都、くわばたりえ、笹野高史、安田顕

・公式HP: https://35th-loveletter.com/


《『35年目のラブレター』レビュー》

 

朝日新聞にも掲載された夫婦の実話を主演・笑福亭鶴瓶、共演に原田知世、上白石萌音、さらには予告編からも「感動の実話」の匂いがプンプンな感じがした笑福亭鶴瓶主演映画『35年目のラブレター』。予告編や主演・共演、設定などからの見る前のイメージからブレることがない夫婦のヒューマンドラマではあるが、それ以上に同じく夜間中学を舞台にした山田洋次監督作品『学校』と共通のテーマが多いながらも、さらに新しい形で見せた

令和版『学校』とも取れる出来が良い夜間中学映画だった!

(c)2025「35年目のラブレター」製作委員会

ストーリーは主人公・西畑保が定年退職してから妻に手紙を書くために夜間中学に通う所から始まるが、この導入部において、

・保が読み書きが出来ない

・勤め先の寿司屋や自宅での妻の保へのフォロー

・定年退職後に起きた保のトラブル

・偶然見つけた夜間中学の生徒募集の案内

といった具合いで、非常にスムーズなテンポで展開し、保と妻・皎子が出会いの頃&結婚生活初期の過去のエピソードと現在進行のエピソードを器用にも交互に展開。

(c)2025「35年目のラブレター」製作委員会

その保の読み書きが出来ない具合いやそれにまつわるトラブルもしっかりと見せるが、笑福亭鶴瓶が演じているおかげで悲壮感を最小限に抑え、鶴瓶特有のコミカルさでマイルドにしている。一見、強烈な個性が故にどう見ても笑福亭鶴瓶にしか見えない俳優・笑福亭鶴瓶だが、塚本連平監督は上手く主演・笑福亭鶴瓶を使っていて、それが本作のメインでもある夜間中学のシーンで活かされている。

(c)2025「35年目のラブレター」製作委員会

本作の肝こそは保の長年苦労をかけた妻への愛情でもあるが、映画としての実態は山田洋次監督作品でシリーズ化された『学校』シリーズを引き継いだ「夜間中学」のシーンにある。保以外にも「夜間中学」に通う年配者や外国人留学生、さらには事情があって一般の学校に通えなくなった10代の若者や安田顕が演じる訳あって夜間中学の担任をすることになった教師など、まさしく令和版の『学校』として展開される。

(c)2025「35年目のラブレター」製作委員会

今回、この『学校』の描写では学業続行(留年?)と卒業(退学)についてのやり取りもポイントの一つとなっている。そこに保のモチベーションの浮き沈みや夫婦との絆も見せ、これまでの『学校』シリーズにはなかった味わいがある。これに加えて後半になると、保の娘や孫もいくらか話に絡み、最後まで「学び」=「生きる」を見せる。

(c)2025「35年目のラブレター」製作委員会
(c)2025「35年目のラブレター」製作委員会

過去進行と現在進行の行き来が映画演出らしい仕掛けで、夫婦の話としてはストレートな感動ヒューマンドラマ。ラストもわりと締まっており、

年齢層高めのドラマだが、爽やかさがある。

(c)2025「35年目のラブレター」製作委員会
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