「眺めのいい部屋」
わたしの好きな映画ということで、何度みても泣いちゃう「眺めのいい部屋(A Room with a View)」をご紹介します。
1986年のジェームズ・アイヴォリー監督作品。
原作はE・M・フォースターの同名小説です。
ときはおそらく19世紀末~20世紀初頭。
イギリス良家の令嬢ルーシー&労働者階級の青年ジョージの出会いから結ばれるまでを描いています。
そうこのふたり、身分がちがいます。
当時は身分ちがいで恋愛、結婚などはムズかしかったことでしょう。
さらに階級差以上にどうにもしがたい障壁があり、とにかくヤキモキ。
その障壁とはズバリ、ルーシーの「偽り」なんです。
ウソにウソを重ね、本人大真面目なのにかわいそうなほど一人こじれてゆくルーシー。
彼女の心の変遷こそが、この作品の醍醐味だと感じます。
《ストーリー》
イタリア旅行で同宿したイギリス人観光客たちが、部屋のことで若干もめているところから物語がはじまります。
ルーシーと従姉妹のシャーロットは、眺望の悪い部屋で期待外れ。
一方ジョージと父親のエマソン氏は、フィレンツェの街を一望する「眺めのいい部屋」だったので、親子は部屋の交換を申し出ます。
・・・・・
エマソン親子の親切な提案は、当時のイギリス社会からすると非常識。
階級の違う見知らぬ異性、というだけで大騒ぎする堅苦しさは、なんだかコミカルでもあります。
たまたま居合わせた神父様に立ち会ってもらいやっと交換、とかなりまどろっこしい。
そんな出会いのさなか、すでに冒頭からふたりが惹かれ合っているのがそこはかとなく伝わってきます。
エマソン親子の発言はいちいち真実すぎて、ついつい目頭アツくなるんですが・・
ルーシーを含め、周囲のみんなにはかなり異次元。風変わりな親子だと思われてしまいます。
それでもとうとう終盤では、エマソン氏の言葉が彼女の胸に突き刺さるのです。
彼女が「偽り」をやめるに至らせる氏の台詞に、誰もが揺さぶられることでしょう・・!
《キャスト》
ルーシーを演じるのは当時二十歳前のヘレナ・ボナム=カーター。、初々しくかわゆいです。アイヴォリー監督作品では「ハワーズエンド」などにも出演していますね。
ジョージ役のジュリアン・サンズも美しい・・!(ちなみに、昨年2023年に遭難事故で亡くなられ、とても悲しかったです)
ルーシーの婚約者にダニエル・ディルイス。お上品な高等遊民を見事に演じています。
そしてなにかとルーシーをジョージから引き離そうとするシャーロットを、後のマクゴナガル先生・マギー・スミスがやはり見事なハイミスぶりで演じています。
ほかにも、エマソン氏にデンホルム・エリオット、ルーシーとジョージのことを小説のネタにしてしまう作家役にジュディ・デンチなど、なにげに豪華なキャスティング。
まだという方、胸アツのラブストーリーが好き!という方にも、ぜひみていただきたい作品です。
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投稿を表示私も4年前頃に観ましたが、結構よかったですね。オープニングには、有名なプッチーニのオペラ『ジャンニ・スキッキ』のアリア「私のお父さん」が使われ、イタリア感もありましたね。
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