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私の好きな映画

昭和・平成シネマ画報 「街の灯」「シェーン」

『街の灯』(1931)

イラスト 志賀コージ

盲目の花売り娘は、ひょんな事から浮浪者チャーリーを富豪の紳士と思い込む。
彼女に恋したチャーリーは、彼女の目の手術費用を工面しようと奮闘する。ドタバタの苦労の末に手に入れた大金を渡すと、その後に無実の罪でブタ箱に。やがて目が見えるようになって今では花屋で働く娘と、出所してズタボロのチャーリーとが偶然の再会、そして全てを理解する娘。この美しく雄弁なる無言劇。無声映画だからこそ胸を打つこの名ラストシーンのその先には、2人にどんな未来があるのでしょうね? 生きること、人間の心は、美しいばかりではない事も、人生の底辺を舐め尽くした浮浪者チャーリーは知っている。どこか憂いを帯びた彼の微笑みに、そんな想いがチラリとよぎるのです。

 

 

『シェーン』(1953)

イラスト 志賀コージ

西部開拓時代。流れ者のシェーンという男がやって来ます。つつましく生きる家族の家でしばし世話になる事に。土地や利権を巡って開拓民同士の争いが起こり、シェーンもその渦中に。早撃ちのガンマンとして知られる男だった彼は、家族を救うと、長居は迷惑と察してこの土地を去るのです。山に響き渡る少年の叫び声を背中に受けながら、いつか自分も誰かに倒される運命だと知っているのでしょう。この宝物のような名ラストシーン!

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