東京芸大受験という名の青春『ブルーピリオド』
■ブルーピリオド
《作品データ》
山口つばさの同名マンガの実写版で、美術に打ち込む高校生の青春映画。矢口八虎は起用にそつなく生きていたが、毎日に物足りなさを感じていた。ある絵を見て感動し、美術の授業で「私の好きな風景」という課題を出された彼は、悩んだ末に、一番好きな「明け方の青い渋谷」を描き、そこで得たかつてない充実感によって「東京藝術大学」の受験を目指す。
眞栄田郷敦が矢口八虎役で主演、同級生のユカちゃんこと鮎川龍二を高橋文哉、八虎のライバルとなる天才高校生・高橋世田介を板垣李光人、美術部の先輩、森まるを桜田ひよりが演じている。『サヨナラまでの30分』『東京喰種 トーキョーグール』の萩原健太郎が監督、脚本をアニメ版「ブルーピリオド」も手がけた吉田玲子が担当している。
・TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー中!
・配給:ワーナー・ブラザース映画
・公式HP: https://wwws.warnerbros.co.jp/blueperiod-moviejp/
〈『ブルーピリオド』レビュー〉
「月刊アフタヌーン」に連載中の山口つばさ原作漫画を眞栄田郷敦を主演に映画化した青春映画『ブルーピリオド』。主人公の矢口八虎が絵に興味を持つきっかけや、東大や京大並に難関校の東京藝術大学への受験対策の様子もそれっぽくは描けているけど、なんとか映画化したというだけで、それ以上のものはない邦画の青春映画だったかな。
ストーリーは原作の東京藝術大学入試までのもので、ボンクラな男子高校生が絵に目覚め、突如東京藝術大学受験を目指す、というもの。東京藝術大学の受験がある意味東京大学や京都大学受験よりも難しいという話は聞いたことがあるし、その美大受験用の予備校の様子も雰囲気が感じられた。ここでも目立つ江口のりこや、久しぶりに見る薬師丸ひろ子や石田ひかりもいい歳の取り方をしたようにも見え、キャストでも楽しめる。
けど、芸術に特化した漫画原作というわりには前半の渋谷のシーン以外はこだわりが薄いし、主人公・矢口八虎があの結末になるのに説得力がなさ過ぎる。それと、高橋文哉が演じた“ユカちゃん”とのやり取りも中途半端。その“ユカちゃん”は日本画を専攻している様だが、だったらもう少し日本画の良さを見せても良かったのではなかろうか?
全体的に無難に映画化出来た受験青春映画で、それ以上のものはなかったかな。これといった変な所もないので、原作のファンや眞栄田郷敦のファンなら悪くはないはず。