【ネタバレあり】自ら選んだ日常はどこまでも完璧で美しい
皆さんこんにちは、
「ポップコーン片手に🍿」かこです。
今回わたしが紹介させて頂く映画は
ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS 』
主演は役所広司さん、第76回カンヌ国際映画祭では最優秀男優賞を受賞されました。
さて一体どのような作品なのでしょうか。
日々生活をしていると、いつのまにか決まるルーティン。
決められた仕事をこなし、一日の終わりに達成感を得たり、平凡な毎日に焦りを感じ変化を求めてしまう事もある。
私はどちらも感じながら過ごしている、歳を重ねてもまだ変化を求めてしまうのだ。
本作の主人公平山はどうなのか?
自ら選択し、同じことを繰り返す平山の心に変化は訪れるのか?
静かで美しい映画なので、多くのことを語らず、注目したポイントを執筆したいと思う。
ヴィム・ヴェンダース監督
124分・ドイツ、日本
主演/役所広司
ーあらすじー
東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、静かに淡々とした日々を生きていた。同じ時間に目覚め、同じように支度をし
同じように働いた。
その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きていた。
その生き方は美しくすらあった。
男は木々を愛していた。木々がつくる木漏れ日に目を細めた。そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。それが男の過去を小さく揺らした。<PERFECT DAYS公式より引用>
わたしが注目したポイントこちら
1.平山という人物
2.他者と関わるという事
※ここから一部ネタバレがあります。
3.今と昔の違い
4.役所広司
1.平山という人物
古びたアパートの部屋には綺麗に並べられたカセットテープ。カメラで撮影し現像した写真は年代ごとに纏められ、ゴミひとつ無い部屋からは、平山の几帳面な一面が見られる。
木漏れ日といった、見逃しそうな小さなことに注目し美しいと感じる平山は、身近に幸せを見つけるプロフェッショナルだ。
毎日木漏れ日の写真を撮り、年代別に纏めた箱は積み重なっていく。おそらく何年も同じ生活をしているのだろう。
写真はまるで日記がわりのようだ。
新しいものを求めないのは、
自分の心が健やかでいられる方法を知っているからで、多くの物は必要ないのだ。
平山にとって、それは人間関係にも言える。
2.他者と関わるという事
完璧なルーティンをこなし一日を終え、また新しい朝を迎える平山。平凡な毎日だが平山には変化があるのだ。
しかし観客はまた同じシーンを見てるのか?と勘違いしそうな位に変化がない。
人間の内面にフォーカスした映画なので仕方ないのだが、やがてわたし達にもハッキリとわかる変化が起きる。
それは他者の存在だ。
良くも悪くも平山の意思とは関係なく、突然踏み込んでくる他者の感情は想定外なことで、生活の基礎となっているルーティンを崩すことにもなりかねない。
それでも大きな心で優しく接する姿には感心してしまった。おそらく心の底で平山は、他者と関わることを望んでいたのだろう。
◎写真の次にネタバレあり◎
ネタバレになってしまうが、妹の娘ニコが突然平山を訪ねてくるシーンがある。
数日後、ニコを迎えに来た妹は「本当にトイレ掃除をやっているの?」と平山に投げかける。それは生活格差と過去の記憶が蘇る瞬間だった。
ふと脳裏によぎる遠い記憶が平山を動揺させるが、新しい朝は必ずやってくる。
わたしの主観だがそれが圧巻のラストシーンの意味だと思う。
ときには感情に揺られながら生きるのもいい、これも平山にとってはPERFECT DAYなのだ。流した涙の意味がこの先、明るいものになって欲しい。
3.今と昔の違い
平山の生活の一部である、カセットテープ、フィルムカメラ、畳の掃除の仕方、どれも昭和感漂うが味がある。若い世代にとってもそれは同じように写る。
本作では特にカセットテープが印象的だ。
音楽もサブスク中心の若者は、カセットテープが出す音に新しさを感じる。Spotifyはどこにある?と場所を聞く平山との、感覚の違いも微笑ましい。
それに公共トイレのスタイリッシュさにはとても驚いた。
下の写真は建築家、板倉竹之助さんが手がけたトイレ。隈研吾さん、坂茂さんをはじめ、様々な有名建築家の作品が登場する。
暗くて湿ったイメージの昔の公共トイレとは大違いだ。
このスタイリッシュなトイレは、公共という意識そのものをアップデートするためにリニューアルされたそうだ。
確かに、使用したくなるし、綺麗に使わなければ、という意識が自然に働くと思う。
アートの力は絶大だ。
4.役所広司
とにかく本作は役所広司さんに尽きる!
冒頭からしばらくの間セリフ無しのシーンが続くが、セリフを重ねなくても厚みのある演技で平山の背景にあるものを魅せる。
俳優人生が長いからこそ成せるワザだと思う。
拘りのトイレ掃除と毎日を丁寧に過ごす所作も、ヴィム・ヴェンダースが注目する日本人の美意識が見事に表現されていた。
現在67歳の役所広司さん、自分と同じ年代の登場人物を描いてくれる作品に出会う機会を逃したくないと言う。
そしてまだ完璧にやれたことがないとも言う。
『PERFECT DAYS 』を鑑賞して、もしかしたら平山を通して、自分の求める完璧さとはどういうものかを探っていたのかも、と素人の私が言うのも生意気だが、そう感じてしまった。
今回わたしは平山に注目したが、他にも、曲が流れるタイミングの良さ、とにかく音楽の使い方が素晴らしい!ゆったりと流れる時間の心地良さなど、実際に観て体感しないとわからない事がたくさんある。
素晴らしい作品なので、ぜひ映画館に足を運んで平山に会ってほしいと思う。
多くのことを語らずと言ったのに、作品が良すぎて止まらなくなってしまいました。
ここまで長文を読んで頂きありがとうございました😊
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投稿を表示perfectdays鑑賞しました。不思議な映画でしたが強烈に記憶に殘る作品でした。
改めていろんな作品を鑑賞しなくては!と思わせてくれました。
好きを残す映画サイト大好きです。
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投稿を表示そぜさんとかこさんと僕で、本作の特集組んでもらおうかな(笑)
PERFECT DAYSの余韻が未だに抜けない(笑)
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投稿を表示ほぼ同時ポストでしたね😆。先日の投稿からさらに切口変えてレビューされていて分かりやすかったです。あの日から自分の車内はパーフェクトデイズのサントラです(カセットテープじゃなくてSpotifyだけどw)もう一回は映画館で観たいなあ。
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