今も生きてる日本ファンタジーエンタメの原点
江戸時代からのベストセラー
監督:曽根文彦
時間:149分
主演:役所広司、内野聖陽
江戸時代にこんなにアクションファンタジーであり、人情ものでもあってアツい涙のエンターテイメント作品があったのを、皆さんはご存知だっただろうか。
南総里見八犬伝
物語は、滝沢馬琴(役所広司)ペンネームは曲亭馬琴、彼が葛飾北斎(内野聖陽)に話して聞かせた『八犬伝』のお話の世界から始まります。その話を聞いて挿絵をサラサラと描く北斎。その挿絵からまたインスピレーションを受けて、更に話を盛り上げていく。
ちなみにこの『里見八犬伝』は1983年に映画化され大ヒットしております。
今年『SHOGUN』でエミー賞を獲った真田広之さんも若くてアクション万歳で登場。
こうして、八犬伝のお話は江戸の世の中で広がり、馬琴は売れっ子作家となります。しかしいかんせん、変わり者の馬琴は他人とは馬が合わず、息子宗伯(磯村勇斗)をアシスタントのようにしながらも、医者の道へ進むように育てていました。
宗伯は後半、病床に伏すのだが磯村勇斗の演技が本当命カゲロウ。号泣必死である。お百(寺島しのぶ)に躾殺したと言われたのは、なんだか今の時代にも通じる親子関係を思わせます。
《虚》と《実》
馬琴の描く《虚》の世界と家族や北斎達との《実》が交互に描かれて行きます。この《虚》パートである『八犬伝』は正にイケメン祭り!主役である里見家を守る、その名の通り8人衆は今で言う戦隊ヒーロー、アベンジャーズのよう。
<八つの珠を持つ八犬士>
犬塚信乃(いぬづか しの)…渡邊圭祐
犬川荘助(いぬかわ そうすけ)…鈴木仁
犬坂毛野(いぬさか けの)…板垣李光人
犬飼現八(いぬかい げんぱち)…水上恒司
犬村大角(いぬむら だいかく)…松岡広大
犬田小文吾(いぬた こぶんご)…佳久創
犬江親兵衛(いぬえ しんべえ)…藤岡真威人
犬山道節(いぬやま どうせつ)…上杉柊平
ただ、おばさんには若干見分けがつきません。推しがこの中にいる方は、もう劇場へGO!
作品の肝となる奈落の底
ある日、挿絵を描いた礼として歌舞伎役者から招待された北斎。仲良し馬琴と歌舞伎を観に行きます。当時は、今の私たちが舞台やミュージカルを生で観る感覚で、こうしてワクワクしながら歌舞伎を観に行ったんでしょうね。ここでは四谷怪談が演じられていましたが、本物の歌舞伎俳優さん(中村獅童、尾上右近)が登場し、200年もの時を越え演じたのは感慨深い。
その後、この歌舞伎の作家である南北(立川談春)との奈落の底での会話は素晴らしく良かった。ここでの会話は、この作品の肝だったと思う。また、談春さんのキャラと芝居もハマっていて、あの人自体が虚だったのか?位に少し不気味な存在。
《虚》パートに出てくる浜路(河合優実)もキーパーソンなのだが、そこは思わずひと昔前の韓ドラか?ってなったけど。そこはもう200年も昔のフィクションなので、目くじらを立てる気はございません。にしても、本当売れっ子河合優実ちゃん。この作品にも出ている。凄い。
滝沢馬琴と葛飾北斎の髪型の変化、また馬琴の視力を奪ったという事実が、28年もの歳月を物語る。
更には晩年、失明して字が書けなくなった馬琴。そこを代わったのが、嫁であるお路(黒木華)。お路は字が書けませんでした。しかし亡くなった夫、宗伯から父の力になるよう言われており、その役目を果たすべく奮闘し作品の完成に尽力したのでした。
悪が正義のような世の中を《実》、せめて物語《虚》では勧善懲悪を、と生涯それを貫いた滝沢馬琴。ふと今年亡くなった鳥山明さんは最期、アラレちゃんや悟空達が迎えに来てくれたんじゃないかなぁ、なんて事を思わせるような場面もあります。日本ファンタジーエンタメの原点!今年は時代劇が数多く公開されて嬉しい限り。波が来てます、乗り遅れずに!
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投稿を表示スゴく面白そう❗見に行きます。私の押しno-2が内野聖陽さん。特に時代劇が好きです。爆発的な感情表現もですが、うちに秘めたものが、何とも言えず好きです。が、no-1の押しは、佐藤健さんです。「働く細胞」や「グラスハート」等も紹介していただけると嬉しいです。図々しくて、ごめんなさい。